2004 Fiscal Year Annual Research Report
劣微分作用素に対する非単調摂動理論とその物質科学への応用
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04F04050
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大谷 光春 早稲田大学, 理工学術院(理工学部), 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MINCHEV Emil 早稲田大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | hysteresis / phase transition / vector order parameter / L^∞-energy method |
Research Abstract |
(1)ヒステレシス項を有するfood-prey-predator model方程式の解の存在、正値性、有界性、一意性が示された。 系を記述する種々のパラメーターの値が同じであっても、系の状態は必ずしも同じにはならず、系の状態が、パラメーターの値のみならず、その過去の履歴に依存して決定される現象を、ヒステレシス効果と呼ぶ。ヒステレシス効果を表す項は、可能なすべてのヒステレシスループ(これは、未知関数に依存する)から作られる領域の指示関数(indicator function)の劣微分作用素で与えられるため、極めて強い非線形性を有している。このため、ヒステレシス項を含むprey-predator model方程式の解析は殆ど成されてこなかった。しかし、相転移現象の数理モデルの研究で培われた技法を援用することで、この困難を解決した。 (2)オーダーパラメーターがベクトル値であるようなヒステレシス効果を有するphase-field modelに対して、解の存在と一意性が示された。従来のモデルでは、オーダーパラメーターはスカラーとされているが、これがベクトルの場合には、ヒステレシス項の未知関数依存性がより複雑となり、非線形性がより強くなる。現在のところ、オーダーパラメーターの変域は、2次元の矩形内に限られるが、今後、一般の凸領域に拡張されることが望まれる。 (3)L^P空間では不可能であるが、L^∞空間ではじめて可能になるエネルギー評価の新たな手法である「L^∞-energy method」が開発され、様々な非線形方物型方程式に極めて有効であることが明らかにされつつある。この手法をヒステレシス項をもつpre-predator modelに対してどの程度有効であるかを探る前駆的な研究が行われた。今後の進展が十分期待できる。
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Research Products
(4 results)