2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04057
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
重成 武 電気通信大学, 電気通信学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DENYS Semagin 電気通信大学, 電気通信学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 分子動力学 / 水晶 / 相転移 / 不整合相 / ソフトモード |
Research Abstract |
(a)水晶の不整合相転移の起源に関する分子動力学および格子力学計算による研究を行った. 我々のグループで提唱している新しいモデルでは変調波の波数ベクトルは,観測されているb/30ではなくb/3の近傍である.このことをこれまでさまざまな観点より検証してきたが,その最も受け入れ難いとされる理由は,なぜb/3近傍の衛星反射が観測されないかという問題であった. 今年度はこの問題に主として取り組み計算精度をあげ,変調波の位相の時間変化を求めその相関関数の計算を行った.その結果相関時間は温度と共に指数関数的に急速に短くなる結果が得られた. このことは,高温では短時間では変調が存在しても実験での観測時間のスケールでの平均時間では位相の揺らぎが大きくなり平均としてゼロになるためであると解釈できる. これらの結果は,平成16年6月のPHONON国際会議(Edinburgh, Scotland)で発表し,また平成16年度物理学会秋の分科会(青森)で2件の講演として発表した.現在その詳細を3部作の論文にまとめつつある. また,上記の問題と関連して,各種実験結果にはこれまでのモデルでの解釈と多くの矛盾があるが,その原因をより明確にするために共同研究者である阿部浩二助教授を中心として,放射光Spring8によるX線回折実験を行った.α相への転移温度近傍での異常に関する実験および分子動力学的検討は今後の課題でもある. (b)分子動力学に関しては,近年急速に発展しつつあるが,平成16年11月にWarsaw(Poland)で行われたDr.Parlinski主催のWorkshop on ab-initio phonon calculationsに出席し研究発表および討論を行った.
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Research Products
(6 results)