2004 Fiscal Year Annual Research Report
異方的超伝導体のギャップノード構造の研究-角度分解による磁場中比熱測定
Project/Area Number |
04F04061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Host Researcher |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授
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Foreign Research Fellow |
CUSTERS Jeroen 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 充填スクッテルダイト化合物 / 異方的超伝導 / ギャップノード構造 / 反強四重極秩序 / 磁場誘起相転移 / 角度分解比熱測定 |
Research Abstract |
(1)異方的超伝導体PrOs_4Sb_<12>のギャップ対称性 PrOs_4Sb_<12>の超伝導対称性を決定するために、超伝導混合状態での比熱の磁場方向依存性を0.28K〜Tc(=1.8K)の範囲で調べた。磁場は(100)および(010)面内で回転させた。両方の回転面ともに、0,5K以下の温度領域で比熱に明確な4回対称の角度振動が観測された。その相対振幅はH/Hc2〜0.3付近で極大をとり、低磁場ではほぼゼロに向かって減少した。一方、高磁場側でもゆるやかに減少したが、H=Hc2においても小さい振動が残り、H/Hc2〜1.5で完全に消失した。これらの結果は、品質の異なる2個の単結晶試料において再現することを確認した。以前の磁場中熱伝導測定によって報告された2回対称の磁場領域は、今回の比熱の実験では検出されなかったが、比熱の4回振動が極大となる磁場が熱伝導実験で報告された2回対称-4回対称の転移磁場とほぼ一致することがわかり、この磁場において超伝導状態に何らかの変化が起きていることを確認した。相対振幅がゼロ磁場で非常に小さくなることから、ギャップの大きさには顕著な角度依存性があるものの、少なくとも低磁場では全ての方向でギャップが開いている可能性が高いと思われる。 (2)PrFe_4P_<12>の磁場誘起相転移 PrFe_4P_<12>の[111]方向における磁場中転移を比熱測定によって調べた。低磁場の反強四重極相が7T付近で壊れたあとに、比熱の明瞭なピークが観測され、新たな秩序相が高磁場側で存在することが明らかとなった。また角度依存性を詳しく調べたところ、その転移は[111]方向を中心に数度の範囲でのみ存在することがわかった。結晶場モデルによる解析の結果、基底1重項-励起3重項からなる擬4重縮退基底状態がゼーマン分裂するとき、[111]磁場方向のみに準位交叉があり、四重極相互作用により磁場誘起秩序が起こり得ることがわかった。
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Research Products
(2 results)