2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04062
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Genfu 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 重い電子系 / 超伝導 / 反強磁性 |
Research Abstract |
1.超伝導を示す重い電子系物質の単結晶育成を行うために、マッフル炉および遠心分離機を新規に購入し、システムの構築を行った。その結果、Ce_2CoIn_8、CeRhIn_5およびそのLaとの合金等の単結晶育成に成功した。特に前者は分担者である陳氏等によって発見された物賃であるが、その質はまだ十分良質とはいえなかった。本研究により育成された結晶の質は、従来のものに比べ格段に向上していると思われる。(Inなどの析出によると思われる超伝導転移が見られなくなった。)しかし、残留抵抗はまだ大きく、さらなる純良化を目指して育成条件を探しているところである。 2.上記物質の電気抵抗、比熱あるいは熱膨張、ac磁化率の測定を行い、超伝導転移を確認した。とくにCeRhIn_5の高圧下における磁気秩序と超伝導の共存・競合についての情報を得るため、^3He温度領域においてac磁化率の測定を行った。その結果、従来考えられていた圧力より低圧域で超伝導が出現し、しかも、大きな超伝導体積分率を持っていることを見出した。現在、より高圧領域における実験が進行中であるが、従来の定説(反強磁性と超伝導の共存)を否定する結果(反強磁性と超伝導の競合)となる可能性がある。これは、f電子を1個のみ含むセリウム系の特徴として理解されうることを示唆しており、ウラン系との対比において、大いに興味が持たれるところである。 3.CePd_2Si_2の単結晶をテトラアーク炉で育成した。この単結晶のキャラクタリゼーションは今後の課題である。 この1年の間に、初期の目的であったフラックス法による単結晶育成を行えるようになった。この意味で、本研究は着実に進展している。次年度は、上記2.の測定を進めると同時に、ミクロな情報を得るため中性子散乱実験を行っていく予定である。
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