2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 周 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WILSON Phillip Lawrence 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 脂質二分子膜 / リポソーム / ドラッグデリバリシステム / 膜モデル / 膜融合 / ジャイアントベシクル / マイクロ流体 / マルチスケール解析 |
Research Abstract |
毛細血管内を変形しながら移動する赤血球やドラッグデリバリ用マイクロカプセルなどの分散体では,毛細血管内での力学的特性と膜を介しての分子レベルの物質輸送が密接に関連している.生体内におけるこれらの要素の影響を定量的に評価するためには,生体膜を介して細胞内に取り込まれる分子レベルの物質輸送から連続体レベルでの血流・分散体の流体・構造連成までマルチスケール性を考慮した解析が必要である.本研究では,これらの複雑な因子を合理的かつ精度良く解析するためのツールの開発を行なうために,生体膜の基本要素である脂質二分子膜に関して,分子レベルでの情報を取り入れながら連続体スケールで利用可能である膜モデルを構築することを目的としている. 研究分担者のWilson博士はこれまで,脂質2分子膜からなるリポソームに関して,分子論的なアプローチから連続体モデルへとつながる膜モデルの構築に関して数種類の手法を試みた.初期のモデルとして,膜面上の脂質2分子膜を粗視化するための方法としてボロノイ分割のアイデアを用いて,多数の脂質分子を1つの粒子で近似し,脂質間の相互作用をボロノイ分割の分割面で表現する手法に関して研究を行なった.この手法では,脂質二分子膜において特に重要となる親水基と疎水基の役割を適切にモデリングすることに多くの困難を伴ったため,その後,粗視化分子動力学法や散逸粒子動力学法の概念を取り入れた新たな手法の構築を行った,すなわち,複数の原子のかたまりを1つの粒子として近似し,脂質分子を数個の粒子として表現する概念を取り入れながら,場を離散的な粒子ではなくスカラー量として表現する手法の開発を行なった.粒子間に働く力として,分子の運動エネルギー由来のエントロピー項と分子間相互作用力由来の自由エネルギー項をモデル化し,簡単な粒子モデルで脂質二分子膜が構成されることを示した.
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Research Products
(2 results)