Research Abstract |
平成16年度は,1)地震荷重を受けた場合のパイルド・ラフト基礎および群杭の動的変形解析手法を開発する,2)地震荷重が作用する場合のパイルド・ラフト基礎の設計体系を検討する,ことを主な研究目的として研究を実施した。 1)に関しては,解析モデルでは,既に開発した静的鉛直・水平およびモーメント荷重を受けるパイルド・ラフトの簡易変形解析プログラムPRABに基づいて,動的解析を行えるようにプログラムを拡張した。拡張した動的変形解析プログラムD-PRABでは,ラフトは薄板要素,杭は梁要素,地盤はラフト節点あるいは杭節点に連結されたばねとダッシュポットで表現する。解析手法では,まず時刻歴応答解析を行って,基礎付近の地盤時刻歴応答を求める。この地盤時刻歴応答を用いてパイルド・ラフトに作用する地震により引起こされる外力を計算し,パイルド・ラフト基礎の動的変形解析を行い,パイルド・ラフト基礎の変形および部材応力を求めることができる。新たに拡張したプログラムD-PRABの妥当性を確認するために,有限差分法プログラムFLAC3Dを用いて地震荷重を受ける杭基礎の動的解析を行い,D-PRABの計算結果と比較解析を実施した。D-PRABの解析結果はFLAC3Dの解析結果とよく一致していることが分かった。 新たに拡張したプログラムD-PRABでは,設計条件の入力が容易,計算時間が比較的短い,計算結果の即時表示,計算結果の図表示といった機能と特徴を有する,パイルド・ラフトおよび群杭基礎の動的解析を行える三次元簡易変形解析プログラムである。そのため,本プログラムを用いることによって,杭基礎構造物の最適設計を行うことができる。これらの結果は,目的2)である今後のパイルド・ラフト基礎の設計法の確立に,大きく貢献する研究成果である。
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