2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模な網状河川における河岸侵食の機構解明と防護対策に関する研究
Project/Area Number |
04F04097
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
藤田 裕一郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AHMED Abu Musa M.M. 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 河岸侵食 / 網状河川 / 河道砂州 / 侵食防止 / 水制工 / 河道の安定 / バングラデシュ / 水理実験 |
Research Abstract |
大規模な網状河川では、極端な河岸侵食が生じて河道が安定せず、多くの開発途上国ではそれが社会基盤の整備拡充の大きな支障となっている。 本研究では、この防止軽減のために、バングラデシュ国の河道変動データを収集し、ブラマプトラ河などの河岸侵食区間に着目して実態を明らかにしてきた。これらの区間について、2次元浅水流モデルによる流れと河床変動の数値シミュレーションを実施し、河岸侵食に影響する流れの集中と河岸斜面勾配は、やはり、平面形状の人為的改変を除くと、既に形成されている河道砂州に支配されることを再確認した。網状河川における砂州挙動と河岸侵食については、水理実験を並行実施して、砂州モードの変化等、従来の研究成果との整合性を確認した上で、モード減少に伴う河岸への流量集中状況と河岸侵食の進行との状況を定量的に把握した。また、浅水流シミュレーション結果との合致を確認するとともに、実験と現地大河川との相似律について、幾何歪み、砂州モードの対応、流水抵抗等から、現有の幅1.8m、長さ17mの水路実験の位置付けを総合的に検証した。その結果、小規模河床形態の粗度を実験粒径に対応させた場合、1.8m幅では、現地に見込まれる高モード砂州の形成は困難であるが、時間的に後に出現する低モード砂州は対応しうると判り、模型実験の観点からも、河岸侵食を支配している現地砂州のモード、あるいは、平面スケールの把握の重要性が明確になった。 ついで、近傍水深が容易に20m越える大規模河岸の侵食を激化させるその局所的急傾斜化を防止軽減する方法として、河岸近傍河床から河道中央に向かう土砂移動を抑えるばかりでなく、逆方向の移動を生じるように流れを制御する、新型式の水制を工夫し、水理実験によってその効果を確かめた。これは、現地調達も可能な材料も使用できる構造であり、その流れ制御機能は基礎的な流体力学的検討からも裏付けられた。
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