2004 Fiscal Year Annual Research Report
ネパールの伝統的住宅の建築環境工学に基づく評価と改善
Project/Area Number |
04F04101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 治典 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RIJAL Hom Bahadur 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ネパール / ヒマラヤ / Lo-Mangtang / 伝統的住宅 / 温熱環境 / 内外温度差 / シミュレーション / 改善 |
Research Abstract |
ネパール山岳地帯の伝統的住宅において換気・熱連成シミュレーションを実施して,冬の室内温熱環境の予測と既に実施した改善の検証を行い,以下の定量的な知見を得た。 1)「基本モデル」の室温を精度よく予測することができ,これを用いて種々の住宅の室内環境の予測や改善方法の最適化の検証ができる。 2)全ての改善案を組み合わせた「総合改善」の夜間の平均室温は「基本モデル」より4.4〜12.7K上昇する。現地の材料と技術を用いて実際に施工した気密化と断熱化によって冬の室温を大きく改善することができる。 3)熱的快適性と薪の削減を考慮した「総合改善+薪削減」では薪の消費量が60%削減できると共に,夜間の平均室温は「基本モデル」より1.0〜4.0K高くすることができる。実際に施工した改善は室内温熱環境の改善とエネルギー消費量の削減の両視点から有効的である。 ネパール・ヒマラヤ地帯(高地)における伝統住宅の温熱環境の評価と改善を目指して,冬の温熱環境実測を行い,外部環境と住宅計画の関係,内外温湿度差,水平温度差,上下温度差などについて以下のことを明らかにした。 1)外壁に殆ど窓を設けないことは,強風が建物の中に入って熱を奪うのを抑えるのに役立っている。 2)平均内外温度差(内-外)は暖房室で昼間+4.9K,夜間+9.6K,非暖房室より昼夜とも大きいことから,暖房室の温熱環境は非暖房室より良好である。 3)暖房室では水平温湿度差や上下温度差大きいという実態が示された。上下温度差はASHRAE ST-55の推奨値の3Kより大きく,不快な温熱環境と家畜糞の燃焼で発生する熱の浪費を示唆している。 4)粘土屋根の断熱性,床や壁の熱的性能を検討した結果,夜間の室温を保持するのに有効である。
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Research Products
(4 results)