2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質によるヘム合成とタンパク合成の協奏反応の破壊:ポルフィリン症の機構解明と治療を目指して
Project/Area Number |
04F04110
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 透 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MIKSANOVA M. 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 環境汚染物質 / 赤血球 / ヘモグロビン / 蛋白質翻訳・合成 / ヘム / 重金属 / キナーゼ / 変異体 |
Research Abstract |
赤血球においてはヘモグロビンが酸素分子の貯蔵に重要な働きをする。ヘモグロビンが正常に機能するためには、ヘムとグロビン蛋白質のモル比が常に1でなければならない。もし、ヘム又は、グロビン蛋白質が過剰に存在すると、重篤な血液の病気になる。ヘムの濃度をセンスしてグロビン蛋白質の翻訳(合成)の開始を制御するのが、真核生物イニシエーションファクター2αキナーゼ(Heme-regulated Inhibitor : HRI)と呼ばれる酵素である。HRIは赤血球のみならず、脳など他の臓器にも存在しており、それぞれの場所での、蛋白質翻訳(合成)の開始を制御していると推定される。一方、環境汚染物質によって、ヘムの生合成やヘムの分解が阻害されてしまい、生合成や分解の中間体が公害患者では蓄積され、皮膚に赤い色素が沈着する。本研究では、ヘムの合成中間体、ヘムの分解物、及び、重篤な公害金属である重金属などにより、HRIの活性がどう制御されるかを研究した。非常に興味あることは、微量のヘムの分解物、及び、水銀、亜鉛、カドミウムなどによりHRIの活性は著しく阻害されることが明らかになった。N-末端を欠損した変異体をいくつか作成して、キナーゼドメイン(活性部位)が露出した欠損変異体についても同様な結果が得られた。現時点においては、また論文を投稿し掲載される所までは行かなかったが、第77回日本生化学会(10月13日2004年、横浜)でその結果の一部を発表した。生化学76(8),794(2004) M.Miksanova, J.Igarashi, H.Kurokawa, T.Shimizu, "Characterization of a heme-regulated eukaryotic initiation factor 2α kinase"
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