2005 Fiscal Year Annual Research Report
フミン質のPAHsの干渉が生物濃縮と微生物に与える影響
Project/Area Number |
04F04111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 三郎 京都大学, 地球環境学堂, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KANALY Robert 京都大学, 地球環境学堂, 外国人特別研究員
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Keywords | PAHs / DNA付加体 / フミン質 |
Research Abstract |
ディーゼル排ガスなどにより排出された多環芳香族炭化水素類(PAHs)は、道路粉塵として路面に堆積し、雨が降ると水環境に放出される。PAHs は生物濃縮により魚類や鳥類に蓄積し、DNAに付加体を形成すると考えられる。高速液体クロマトグラフタンデム質量分析器を用いて、DNA付加体を網羅的に解析する手法を開発した。付加体デオキシヌクレオシドの多くはエレクトロスプレーイオン化法により、プロトンが1個付加したM+1(Mは質量数)のプラスイオンを生じる。このイオンが衝突セルに導入されると、多くの場合、デオキシリボースと塩基間のグリコシド結合が開裂し、塩基部分の質量+1のプラスイオンを生じる。このときデオキシリボースの方はイオン化しない。デオキシリボース部分の質量は116なので、塩基部分の質量は必ずデオキシヌクレオシドの質量-116になる。そこで、親イオンと娘イオンの質量差を常に116に保ちながら、様々な質量について網羅的に解析することにより、未知のDNA付加体を網羅的に検出できる。この手法を用いて、ベンゾ(a)ピレンや1-ニトロピレンなどのPAHsが誘発するDNA付加体の解析を行った。また、アクリルアミドゲルを利用した32pポストラベル法を用いて、様々な多環芳香族のDNA付加体を解析した。ディーゼル粉塵や、大阪湾の低泥の抽出物をヒト肝臓がん細胞株HepG2に曝露し、32pポストラベル法でDNA付加体の解析を行った。また、食物連鎖の頂点にあるカワウの肝臓のDNA付加体をLC/MS/MS法と32pポストラベル法で解析した。
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