2004 Fiscal Year Annual Research Report
サブナノ秒遠紫外レーザーパルスの発生とその時間分解紫外共鳴ラマン分光への応用
Project/Area Number |
04F04116
|
Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
北川 禎三 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GU Yuzong 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 外国人特別研究員
|
Keywords | レーザー温度ジャンプ / 時間分解ラマン / 共鳴ラマン / レーザー波長変換 |
Research Abstract |
Gu博士は中国で非線形光学の実験的研究で学位を得た。3次の感受率によるレーザー光の屈折変化を1064、532、514.5、488.0、457.9nmのレーザー光でパラジウムフタロシヤニン等いくつかの有機薄膜に対して測定する研究をしてきた。しかしラマン分光の経験が全くなかったので、岡崎ではまず連続発振レーザーを用いてシトクロムcの共鳴ラマンスペクトルを測定する基礎実験から手ほどきした。それができるようになった段階で、10ナノ秒のパルスレーザーを用いて同じ試料の共鳴ラマンスペクトルがとれるように練習実験を繰り返した。1人でシトクロムcの共鳴ラマンスペクトルは測定できるようになった。次に研究室に設置されている別のNd:YAGレーザーを種光源として水素ガスの誘導ラマンを発生させ、それを別のレーザーで増幅して1.5μmの近赤外パルス光を作り出す装置を動かせるようになる訓練をした。これはタンパク質水溶液の水の吸収にレーザーの波長を合わせて水に光エネルギーを吸収させ、熱に変える事によって水の温度を上昇させる事を意図したものである。パルス光による溶液の温度上昇を、それに同期して入射する532nmのパルス光に対するアンティストークス/ストークスラマンの強度比で観測する実験に進んだ。MoO_4^<2->イオン水溶液のラマンバンドを観測する事に成功し、温度ジャンプさせるパルス光からの遅延時間を変数にして温度を決められるレベルに到達した。これからその温度の広がり幅と空間範囲の限定、試料が新しいものに入れ替わるに要する時間等の基礎データをもう少し集積した後、タンパク質の温度ジャンプの実験に進む予定である。
|