2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体関連分子における電荷移動とプロトン移動のカップリングに関する分光学的研究
Project/Area Number |
04F04120
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Research Institution | Kyushu University |
Host Researcher |
関谷 博 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授
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Foreign Research Fellow |
ZHANG Xuan 九州大学, 理学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ダブルプロトン移動 / 4-クロロ-7-アザインドール / 水素結合 / 超音速ジェット / エキシトン相互作用 / 蛍光励起スペクトル / 電荷移動 / 7-アザインドールダイマー |
Research Abstract |
励起状態プロトン移動と電荷移動のカップリングについて注目されているが、定量的なデータはほとんど報告されていないので、孤立気相中の電子スペクトルの測定から、その解明を目指している。7-アザインドールダイマー(7AI_2)の4位のH原子がN,N-ジメチル基で置換された分子である4-ジメチルアミノ-7-アザインドール(4DAAI)ダイマーにおいては、励起状態ダブルプロトン移動(ESDPT)と電荷移動の両方が生じることが溶液中の実験から示唆されているが、充分な実験的証拠が得られていない。そこで、我々は4DAAIとプロトン移動のみが生じる4-クロロ-7-アザインドール(4CAI)を合成し、初めに4CAIダイマー(4CAI)_2のESDPTの置換基効果について検討した。Cl置換によっての蛍光励起スペクトル中のバンド幅は7AI_2と比べて明らかに狭くなった。バンド幅の測定から、Cl置換によってESDPT速度が7AI_2の半分に減少することが示唆された。分散蛍光において7AI_2では観測されないNormal蛍光が(4CAI)_2に観測されたことは、ESDPT速度の減少を裏付けている。ESDPT速度の減少は、S_1状態において水素結合が弱くなり、トンネリング障壁が高くなることを示唆している。4CAI-7AIヘテロダイマーの励起スペクトルには、4CAIまたは7AIのどちらかに励起が局在したダイマーのバンドが観測された。これらの結果は、(4CAI)_2の励起状態のエキシトン相互作用がWeak coupling caseであることを示している。現在、以上の成果を投稿する準備と(4DAAI)_2の測定を進めている。
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