2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体関連分子における電荷移動とプロト移動のカップリングに関する分光学的研究
Project/Area Number |
04F04120
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Research Institution | Kyushu University |
Host Researcher |
関谷 博 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授
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Foreign Research Fellow |
ZHANG XUAN 九州大学, 大学院・理学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 生体関連分子 / 7-アザインドール / 分子間水素結合 / ダブルプロトン移動 |
Research Abstract |
溶液中で電荷移動反応とプロトン移動が観測されている4-ジメチルアミノ-7-アザインドール(4DAI)を合成し、超音速ジェット冷却させ、電子スペクトルの測定を行い、電荷移動、ダブルプトロン移動が生じるかどうかおよび置換基の導入がダブルプロトン移動に及ぼす効果について調査した。励起スペクトルには0-0遷移の他に分子間伸縮振動と分子間変角振動のプログレッションが観測された。分散蛍光スペクトル中には、二重蛍光(共鳴蛍光と励起波長から著しくレッドシフトした蛍光)が観測された。7-アザインドールの電子スペクトルとの類似、およびNH基を重水素置換した分子の励起スペクトルの振動バンド幅の顕著な減少から励起状態ダブルプロトン移動が生じているが、電荷移動が生じている証拠は得られなかった。これは、NormalダイマーのS_1状態ポテンシャルよりも電荷移動状態のポテンシャルがエネルギー的に高い位置に存在するためと推定される。4DAI_2の0-0遷移は、4DAIよりも1195cm^<-1>レッドシフトしている。この値は7-アザインドールダイマーの0-0遷移のモノマーからのシフト値2387cm-1よりもかなり小さい。この比較から4DAI_2のS1状態の分子間水素結合の強度は7-アザインドールダイマーよりも弱いことが推定される。分子間水素結合が弱まるとダブルプロトン移動の障壁が増加し、プロトン移動速度が減少することが予測される。4DAI_2の励起スペクトル中に観測された分子間移動のバンド幅は、対応する7-アザインドールダイマーのバンド幅の4分の1から10分の1に減少しており、分子間水素結合が弱まることと一致している。7-アザインドールの4位へのジメチルアミノ基の導入は分子間水素結合を弱め、励起状態ダブルプロトン移動を著しく減少させることが分かった。
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