2004 Fiscal Year Annual Research Report
立体保護された低配位有機リン化合物の遷移金属錯体の研究
Project/Area Number |
04F04121
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Research Institution | Tohoku University |
Host Researcher |
吉藤 正明 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
FREYTAG Matthias 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 低配位リン化合物 / 立体保護基 / ジホスファプロペン / 金属錯体 / ホスファアレン / ジホスファフルベン / 金錯体 / 硫化 |
Research Abstract |
周期表で第3周期以降の典型元素を含む多重結合の化合物は、その多重結合の原子間距離が長く、また、軌道の広がりが大きいため、いわゆるπ軌道の有効な重なりがあまり期待できない。さらに、高周期典型元素は混成軌道を形成しにくいことなどから、従来、このような多重結合化合物は不安定であるとされてきた。しかし、近年、かさ高い置換基を分子内に組み込むことにより、その強力かつ有効な立体保護効果を利用して、いわゆる不安定化学種を速度論的に安定化できることが明らかになってきた。本研究は、例えば2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル基など、大きな立体保護効果を示す置換基に着目して、2配位や1配位の低配位状態にあるリン原子をもつ化学種の発生と単離・同定を試み、それらの構造を、NMRやX線結晶構造解析などから明らかにし、反応性として金属錯体の合成を試みた。まず、立体保護された1,4-ジホスファフルベンの硫化および酸化反応を試み、モノスルフィドおよびオキシドを得ることに成功した。その構造を、X線結晶構造解析により確定し、その反応機構について考察した。また、ジブロモホスファエテンから調製したリチウム化合物をベンズアルデヒド、次いでクロロシランと処理し、それを再度ハロゲンメタル交換後に再度トリメチルシランと反応させたところ、ホスファアレンが生成した。生成物の構造については、各種NMR測定、およびX線結晶構造解析により決定した。次に、1,3-ジホスファプロペンの錯体研究の一環として金錯体を合成し、構造解析した。
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Research Products
(2 results)