2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大須賀 篤弘 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUNDARARAMAN Venkatraman 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ポルフィリン / 拡張ポルフィリン / カリックスジピリン / 金属錯体 / スピンフラストレーション / 液晶 / ヘキサフィリン / 金錯体 |
Research Abstract |
環拡張ポルフィリンの一種であるヘキサフィリンの酸化体は、その共役環状電子数が26で、典型的な芳香族性を示す平面分子である。このメゾアール基のパラ位に長鎖アルキル基を導入することにより、液晶性を発現させることを考案した。1,2,4,5-テトラフルオロベンゼンから、テトラフルベンズアルデヒドを合成し、ホルミル基をアセタール保護した後、ブチルリチウムでリチオ化してアルキルブロミドと反応させてから脱保護することにより、パラーアルキル置換テトラフルオロベンズアルデヒドを合成した。アルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基を持つアルデヒドを合成し、これをピロールの反応により、それぞれヘキサフィリン(Hex-C6、Hex-C8、Hex-C12、Hex-C16)を8-10%の収率で合成した。いずれのヘキサフィリンも平面構造を持ち、芳香族性を持つことが1H NMRスペクトルからわかった。これらの液晶性を検討したところ、HexC6とHex-C8は液晶性を示さないが、Hex-C12とHex-C16は液晶性を示すことが偏光顕微鏡観測や粉末X回折の測定の結果、わかった。今のところ、ヘキサゴナルカラム相をしていると思われるが、より詳細な検討が必要である。また、パラーメトキシカルボベンズアルデヒドとピロールのポルフィリン合成を酸素雰囲気下で行うと、意外なことにカリックスジピリン部位を3つがsp3炭素で架橋された環状合成物が10%程度の収率で得られることがわかった。その構造を単結晶X-線解析により、明らかにした。世界ではじめての例である。架橋部の炭素には水酸基がついており、この化合物にニッケルや胴や亜鉛などの2価の金属イオンを作用させると金属3核錯体を容易に生成することもわかった。胴錯体で胴(II)イオンの不対電子によるスピンが通常の反強磁性相互作用では、相殺されないスピンフラストレーションを示すこともわかった。その他の芳香族のアルデヒドで反応を試みたところ、パラ位に電子供与基を持つアルデヒドからは、このカリックスジピリンは生成せず、シアノ基やハロゲン基などの電子吸引性置換基をもつ芳香族アルデヒドからは生成することがわかった。
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