2004 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属カルコゲニドの機能性超分子およびデンドリマー
Project/Area Number |
04F04124
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
巽 和行 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 弛 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 環状クラスター / ニッケル / チオラート / チオエーテル / 集積化 / 包接化合物 |
Research Abstract |
平成16年9月から合成研究を開始し、チオエーテル-チオラート混合型配位子を用いたニッケル原子の集積化に関して以下の成果をあげた。 NiCl_2に対して1倍当量のチオエーテル-チオラート混合型配位子のリチウム塩LiSCH_2CH_2SR (R=Me, Et,^iPr,^tBu)を反応させたところ、二核錯体[NiCl(SCH_2CH_2SR)]_2が得られた。2倍当量のLiSCH_2CH_2SR (R=Me, Et,^iPr)を反応させた場合には、鎖状ポリマー型錯体[Ni(SCH_2CH_2SR)_2]_nが得られた。一方、チオエーテル部位の置換基をアルキル基からフェニル基に変えたLiSCH_2CH_2SPhとの反応では、1倍当量、2倍当量の反応のどちらにおいても環状六核錯体[Ni(SCH_2CH_2SPh)_2]_6のみが得られた。この反応においては、チオエーテル部位の配位力の違いによる溶液中における錯体の構造の違いが結晶構造の違いに反映されたと考えられる。次に、このHybrid Ligandと単座チオラート配位子の2種類の配位子を合わせもつ錯体の合成を検討した。NiCl_2に対して1倍当量のNaSCH_2CH_2SR (R=Me, Et,^iPr)およびNaS^tBuを反応させ、THF/Hexaneから結晶化させたところ、SCH_2CH_2SRとS^tBuを1:1で有する[Ni(SCH_2CH_2SR)S^tBu]_<10>のニッケル環状10核錯体が得られた。置換基RがEt,^iPr基の場合には、THF/hexaneまたはbenzene/hexaneから結晶化することにより、環内に溶媒分子を取り込んだ結晶が得られた。また、[Ni(SCH_2CH_2S^iPr)S^tBu]_<10>の^1H-NMRをCDCl_3中で測定したところ、_1.59(d,60H, CH(CH_3)_2),1.82(s,90H, C(CH_3)_3),2.24(t,20H, CH_2),3.00(s,20H, CH_2),3.17(sep,10H, CH(CH_3)_2)にピークが観測され、配位子の組み合わせが1種類のみだと考えられることから、この10核錯体は、溶液中においても10核構造を維持していると考えられる。
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