2005 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属カルコゲニドの機能性超分子およびデンドリマー
Project/Area Number |
04F04124
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
巽 和行 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 弛 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ニッケル / 集積化 / 環状クラスター / チオラート / チオエーテル / 包接化合物 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、チオエーテル-チオラート混合型配位子を用いたニッケルの集積化を検討し、以下の成果をあげた。 NiCl_2に1倍当量のチオエーテル-チオラート混合型配位子のカリウム塩KSCH_2CH_2SR(R=Me,Et,iPr)をメタノール中で加えたところ、二核錯体[NiCl(SCH_2CH_2SR)]_2が得られた。この二核錯体にKStBuを加えたところ、S^iPrとSCH_2CH_2SRが1つずつ対を成し、交互にニッケル間を架橋した環状ニッケル6核チオラート錯体[Ni(SCH_2CH_2SR)(S^iPr)]_6が収率35%で得られた。同様のチオラート架橋ニッケル6核錯体は報告されているが、2種類のチオラートを選択的に1:1の比で導入した例はなく、本研究で用いたチオエーテル-チオラート混合型配位子が環状構造の過程で重要な役割を担っていることを示す興味深い結果である。一方かさ高いKS^tBuを用いて同様に二核錯体[NiCl(SCH_2CH_2SR)]_2と反応させたところ、より大きな環構造をもつ環状ニッケル10核チオラート錯体[Ni(SCH_2CH_2SR)(StBu)]_<10>が高選択的に得られた。[Ni(SCH_2CH_2SMe)(StBu)]_<10>をベンゼン/ヘキサメチルジシロキサンを用いて結晶化しX線構造解析を行ったところ、Ni_<10>S_<20>からなる環の空孔にベンゼン1分子を取り込み、Ni_<10>S_<20>環は対象な円構造をとっていることがわかった。またベンゼンの代わりにトルエンを用いて結晶化した場合には、トルエン分子は環内には取り込まれず、配位子のチオエーテル鎖の末端が空孔に入り込み、環が楕円形になることがわかった。この結果は、得られたチオラート架橋ニッケル10核構造が比較的柔軟な環構造であることを示すものである。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] New nickel(II) thiolate Complexes with a flexible cyclo-Ni_<10>S_<20> framework
Author(s)
Zhang, C., Takada, S., Kolzer, M., Matsumoto, T., Tatsumi, K.
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Journal Title
Angew.Chem., Int.Ed. (発表予定)