2004 Fiscal Year Annual Research Report
オレフィンの精密重合を指向した高性能遷移金属錯体触媒(特異なナノ反応場)の設計・創製
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04F04129
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Hao 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属錯体触媒 / 精密重合 / チタン錯体触媒 / 均一系触媒 / 新規ポリマー / 反応機構解析 / 触媒設計 / エチレン系ポリマー |
Research Abstract |
本課題はオレフィンの精密重合を指向した高性能遷移金属錯体触媒の設計・創製に関する基礎研究である。具体的には、1)オレフィン系共重合体の精密合成に高性能を発揮するチタン触媒の分子設計・合成や、2)オレフィンの精密重合に有効なバナジウム錯体触媒の設計・創製を目的としている。平成16年度の主な成果は以下の通りである。 チタン錯体触媒によるオレフィン重合の機構解析…スチレンの単独重合とエチレン/スチレン共重合における触媒活性種に関する基礎的な知見を得るために、配位子の異なる各種非架橋ハーフメタロセン型チタン錯体触媒、Cp'TiCl_2(X)[Cp' cyclopentadienyl ; X:アニオン性支持配位子]、を合成し、触媒活性、生成ポリマーの組成分布への温度依存性や配位子効果に関する詳細な実験を行なった。その結果、ほとんどの錯体触媒では共重合体のみを優先的に与えるものの、ある特定のCp配位錯体を用いるエチレンとスチレンとの共重合において、生成ポリマーの組成分布に温度依存性が見られた。シンジオタクチックポリスチレンの割合は高温ほど増加し、室温付近では共重合体のみを与えた。これらの実験事実より、スチレン重合における触媒活性種と共重合における触媒活性種が異なることが強く示唆された(11月に第34回石油・石油化学討論会で口頭発表)。 また、ある特定の錯体触媒、(C_5Me_5)TiCl_2(N=C^tBu_2)、を同共重合に用いると、重合が室温や40℃でもリビング重合挙動を取ることを明らかにした。これはリビング重合挙動を示したはじめての報告例である。一方で触媒活性は使用するCp'配位子に大きく依存し、かつ生成ポリマーのミクロ構造は使用するアニオン性支持配位子の影響を強く受けた(論文投稿中)。
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Research Products
(1 results)