2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04131
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上垣外 正己 名古屋大学, 工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WAN Decheng 名古屋大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | リビング重合 / ラジカル重合 / 立体特異性重合 / 可逆的連鎖移動剤 / フロオロアルコール / ビニルピロリドン / 多重水素結合 / ドナーアクセプター相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、ラジカル重合において分子量と立体構造の精密制御を可能とする重合系を新たに開発し、この重合法に基づき新規機能性高分子を設計・合成することである。とくに、これまでラジカル重合においては非常に困難であった立体構造と分子量の同時制御を可能とするラジカル重合系の開発に焦点を絞って研究を行う。 本年度は、昨年度までの結果に基づき、N-ビニルピロリドン(NVP)のラジカル重合における分子量と立体構造の同時制御を目指した研究を引き続き詳細に検討した。ポリ(NVP)は、生体適合性ポリマーとして広く用いられているため、このポリマーの分子量や立体構造の制御が可能になると、より優れた機能性ポリマーの創出が可能となると期待される。分子量と立体構造の同時制御として、低温アゾ開始剤(V-70)を用い、可逆的付加開裂型連鎖移動(RAFT)剤としてキサンテート(PhCH(CH_3)SC(S)OC_2H_5)の存在下、(CF_3)_3COHのようなフルオロアルコール中、20℃で重合を行うことにより、分子量(M_w/M_n〜1.3)と立体構造の制御された(r〜60%)ポリマーが得られた。種々の分子量(M_w=20,000-700,000)で立体構造の異なる(r=53-63%)ポリマーを合成し、ガラス転移温度(T_g)を測定した結果、同じ分子量ではシンジオタクチシチーが増加するとT_gが減少することがわかった。今後、ポリ(NVP)の物性の制御に有効であることが示された。 本年度はさらに、立体構造を制御する新たな手法として、プロトンドナー(D)部位とアクセプター(A)部位を有するモノマーを合成し、これに相補的に相互作用する化合物を添加して重合することで、多重水素結合作用に基づく方法を検討した。その結果、アミドピリジル部位を有するDADモノマーの重合を、ADAタイプの添加物存在下で行うことにより、生成ポリマーのシンジオタクチシチーが48%から80%に向上することが明らかとなった。本手法は、立体構造制御の新しい手法として有効であることがわかった。
|
Research Products
(4 results)