2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Host Researcher |
小林 昭子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
周 彪 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 中性単一成分分子性金属 / ジチオレン金属錯体 / 分子性伝導体 / 反強磁性体 / X線粉末回折 / 混晶系 |
Research Abstract |
これまでの分子性金属は二種類以上の分子種から構成されていたのに対し、拡張型TTF骨格を持つジチオレン配位子を用いた金属錯体[Ni(tmdt)_2](tmdt=trimethylenetetrathiafulvalenedithiolate)は初めての単一成分分子金属である。中心の金属が金の錯体は中性分子が奇数電子を持つことから、伝導体となる可能性があるため、これまで注目されてきた。最近金の錯体[Au(tmdt)_2]では85Kという高い温度で金属性を保ちながら反強磁性相転移をする系がみつかった。従って磁性を持つ金属を中心金属にする単一成分分子性伝導体は高い温度の磁気転移が期待でき興味深い。本年は3d^5の電子構造を持つFe^<3+>錯体[Fe(dmdt)_2]について磁化率伝導度を調べた。また[Ni(tmdt)_2]と[Au(tmdt)_2]の混晶系についても合成をスタートさせた。 [Fe(dmdt)_2]の磁化は5T、2Kまで飽和せずきわめて小さかったが、常磁性成分はS=5/2のhigh spin状態にある不純物から生じていることがわかった。きわめて小さい磁化率はCurie-Weiss則で良く説明された。この結果から[Fe(dmdt)_2]の構造は二量体構造をとっていると推定される。従って二量体内でスピンは相殺しているものと考えられる。 [Ni(tmdt)_2]と[Au(tmdt)_2]とは同形構造をもっている。このことから(Bu_4N)_2[Ni(tmdt)_2]と(Bu_4N)[Au(tmdt)_2]の仕込量の比を変え混晶系[Ni_<1-x>Au_x(tmdt)_2]の合成を試みた。得られた混晶系についてSPring-8の放射光を用いたX線粉末回折実験によって格子定数が系統的に変わることが観測された。またEPMA,SEMの結果をあわせると、[Ni_<0.85>Au_<0.15>(tmdt)_2]と[Ni_<0.7>Au_<0.3>(tmdt)_2]の混晶系が確実に合成できたことが確認された
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Research Products
(2 results)