2004 Fiscal Year Annual Research Report
多価イオンポリマーをテンプレートとして用いた新規分子性材料の開発
Project/Area Number |
04F04138
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Research Institution | Hokkaido University |
Host Researcher |
中村 貴義 北海道大学, 電子科学研究所, 教授
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Foreign Research Fellow |
JAYANTY Subbalakshmi 北海道大学, 電子科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 多価イオンポリマー / 分子性導体 / 導電性ポリマー / ナノネットワーク構造 / AFM / TTF |
Research Abstract |
有機導体や磁性体のカウンターカチオンとして多価イオンポリマーを導入し、新規導電性ナノ構造体の構築を試みた。本年度は有機導体を与える典型的な分子であるTTF(tetrathiafulvalene)に着目し、多価イオンポリマーとのハイブリッド系について研究を進めた。 1.TTFカチオンと陰イオン性ポリマーとのハイブリッド系について検討を行った。多価イオンポリマーとしては、poly(4-styrenesulfonate : PPS)および1:1 poly(styrene-co-maleic acid : PSCM)を用いた。その結果、TTFカチオンの導入量を変えることで、種々の組成を持つハイブリッド系を合成することに成功した。また、このハイブリッド系の中で、TTFが電荷移動状態にあることをUV-Vis, IR, Ramanスペクトル等の測定から確認した。 2.スピンコート法を用いてTTF-PSSからなるフイルムを作製し、AFM(原子間力顕微鏡)により表面構造を観察したところ、新規なナノネットワーク構造を形成していることが判明した。また、電気伝導度測定から、この膜は半導体的であり、TTF-PSCM系よりも高い伝導度を示すことが分かった。 3.多価イオンポリマーをベースとした複合系の構造を解明するために、パラトルエンスルホン酸とTTFカチオンとの単結晶を作製し、X線結晶構造解析により、その構造を明らかにした。今後、この構造と上記ネットワーク構造を比較検討していく。
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