2004 Fiscal Year Annual Research Report
面積選択MOCVDを活用したInGaAsP化合物半導体結晶成長機構の解析とマイクロレーザアレイの作製
Project/Area Number |
04F04149
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
霜垣 幸浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宋 海政 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 化合物半導体 / 単結晶薄膜 / エピタキシャル成長 / 選択MOVPEプロセス / GaAs / 表面反応速度 / 結晶面方位依存性 / 反応機構 |
Research Abstract |
化合物半導体のMOVPE単結晶エピタキシャル成長において,SiO_2などをマスクとして部分的に単結晶基板表面を覆うと,マスク上には成長せず,単結晶表面にのみエピタキシャル成長が選択的に起こる。このとき,気相からマスク上に拡散した製膜種は隣接する単結晶表面へと流れ込み,成長を加速する。この流れ込みの量は,マスクのパターンおよび大きさによって人為的に変化させることが可能であるため,多重量子井戸構造を作製する際には,その井戸幅をマスクパターン・面積によって平面内において部分的に変化させることが可能となる。したがって,アクティブな素子とパッシブな素子をモノリシック集積でき,化合物半導体光集積回路の効率良い作製手段として期待できる。 本研究では,このような面積選択MOVPEプロセスによるデバイス作製の高度化を目指し,マスクパターンによる結晶成長への影響を定量的に予測できるTCADツールの開発を検討している。今年度は,選択成長幅380μmの広幅選択成長の成長速度分布を解析することにより,GaAs成長における表面反応速度の解析を行った。特に,GaAs結晶面方位が成長速度に与える影響について,系統的かつ定量的検討を行い,表面反応速度は結晶面Off角が大きくなるにつれて大きくなること,また表面反応速度定数は625℃以下では80kJ/mol前後の活性化エネルギーを持つが,それ以上の温度では温度依存性がほとんどなくなること,III族およびV族原料分圧などによって表面反応速度定数が変化することなどを明らかにした。また,マスク端での成長では表面拡散による異常成長が確認されたが,これもGaAs結晶面のOff角に依存した。 来年度以降は同じような検討をInP系においても展開し,最終的には光通信デバイスに多用されるInGaAsP系四元混晶選択成長における組成・膜厚制御を精緻化する。これにより,光集積回路作製に最適な選択成長マスクパターンおよび成長条件を論理的に設計できる環境を構築していく。
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