2005 Fiscal Year Annual Research Report
面積選択MOCVDを活用したInGaAsP化合物半導体結晶成長機構の解析とマイクロレーザアレイの作製
Project/Area Number |
04F04149
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
霜垣 幸浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宋 海政 東京大学, 大学院・工学系研究科, 日本学術振興会外国人特別研究員
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Keywords | 化合物半導体 / 結晶成長 / CVD / 反応機構解析 / 選択成長 |
Research Abstract |
化合物半導体のMOCVDプロセスは,通常は拡散律速下で成長するため,表面反応の情報を成長速度から引き出すことができない。しかし,SiO_2などのマスクを用いて部分的に選択成長をさせ,その成長領域の製膜速度分布から表面反応速度定数などを抽出することが可能となる。 前年度までにGaAs系の選択成長において,表面反応速度定数の温度依存性,原料濃度依存性,基板面方位依存性,および反応器内の基板設置位置依存性についての検討を行い,GaAs-MOVPE成長における表面反応機構についてかなり詳細なデータを得ることができた。特に原料濃度依存性からはラングミュア型のような非線形な現象があることを初めて確認することができた。その結果を踏まえて,平成17年度は非線形反応速度定数の解析を行った。具体的には,製膜種の吸着平衡定数Kと吸着種の反応速度定数kをシミュレーションによるフィッティングから求めた。実際には2つのパラメータがあるため,異なる5つの原料濃度による製膜速度分布を1組のパラメータで無理なく説明できる値の抽出を行った。また,これらの解析をGaAs(100)面に対して(011)方向に0〜15°の傾斜角を持つ基板に対して行った。その結果,吸着種の表面反応速度定数は,結晶の傾斜角に対して依存せず,ほぼ同じ値であったのに対し,吸着平衡定数は角度の増大に伴い,大きな値を示した。このことは,吸着種の反応性は下地に依存しないが,吸着状態はステップが多い傾斜角の大きな基板ほど吸着種の被覆率が高くなることを示している。これらの結果は,化合物半導体のMOCVDにおける表面反応機構解析としては初めての知見である。 このほかに,p型,n型の不純物制御をするために導入するガスの表面反応への影響なども系統的に検討を行い,選択MOCVDを活用したデバイス合成への基礎的知見の取りまとめを行った。
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