2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04154
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZINCHENKO Anatoly Alexandrovich 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | DNA凝縮 / DNA-低分子相互作用 / 単分子観察 / エナンチオマー / 光学異性体 / 分子認識 / 蛍光顕微鏡 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
われわれのこれまでの研究により、DNA溶液に多価カチオンを加えることにより、分子鎖が大きく広がったコイル状態から小さく折り畳められた凝縮状態へと不連続に転移することが明らかになった。この現象は遺伝子発現の制御に利用されていると考えられる。生体内では分子のキラリティの違いが重要であることを考慮し、本研究では、光学活性を持つ低分子凝縮剤を用いたときにDNAの凝縮転移がどのように影響されるかについて、実験・理論の両面から研究を進めた。 ・光学活性を持つ2価カチオンのSS体、RR体、およびメソ体を用いてDNAの凝縮転移がどのように影響されるかを実験的に研究した。その結果、キラリティが異なると、劇的にDNAの凝縮転移に与える影響が異なることが明らかになった。 ・この違いの原因は、コイル状態のDNAと凝縮剤との親和性が光学活性の違いにより異なることではなく、DNAが凝縮する際、DNAと凝縮剤が配列する際の配置のしやすさの違いであることも明らかにした。すなわち、DNAが凝縮する過程において、キラリティが認識されるのである。 ・光学活性ではない2価カチオンを用いると、DNA凝縮の際のカイラリティの違いによる影響は考えなくてよい。 ・カチオンの価数を上げていくと、キラリティの違いがDNA凝縮に与える影響よりも、凝縮剤とDNAの静電的な相互作用が大きくなってしまうため、キラリティを認識するごとは困難になることも明らかにした。
|