2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04154
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZINCHENKO Anatoly A. 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | DNA凝縮転移 / キラリティ / 荷電高分子鎖 / 単分子観測 / クロマチン |
Research Abstract |
生物はキラルなアミノ酸を骨格にもつようなたんぱく質を活用することにより、キラリティを持つDNA分子と相互作用し、DNA分子の活性を制御していると考えられている。従来、DNAのキラリティの認識は、特異的な三次元構造を持つ高分子でなければ不可能であるとされてきたが、申請者らの研究により、3個程度の塩基性アミノ酸のオリゴマーを用いるだけでも、DNAの折り畳み構造についてほぼ100%のキラリティの認識を示すことを明らかにしてきた。このような成果をさらに発展させ、キラリティを認識するためには、何が必要となってくるのかについて、オリゴマーにかわる新たなキラリティをもつ物質を合成し、実験を積み重ねた。また、それの実験結果が、遺伝子発現についてどのように影響しているのかについて、化学的な立場からの考察を進めた。 また、真核細胞の中では、DNAはヒストンと結合しクロマチンと呼ばれる複合体を形成して存在している。DNAは二重らせん構造をとることが良く知られているが、ヒストンと複合体を形成する際に、DNAのねじれが重要な役割を果たしていることが示唆されている。そこで、正電荷を帯びたナノ粒子をヒストンに見立てて、DNAとナノ粒子との複合体の形成に関して実験を行った。その結果、ナノ粒子を加えることによって、DNAはより凝縮しやすくなることを明らかにした。また、ヒストンと同じオーダーのナノ粒子を用いた時にもっともDNAが凝縮しやすくなることも明らかにした。この結果はクロマチン形成のメカニズムを議論する際に重要な役割を果たすことが期待される。
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