2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウンカ食害による台湾烏龍茶の香気生成向上の分子基盤
Project/Area Number |
04F04158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂田 完三 京都大学, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHO Jeong-Young 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 東方美人茶(Oriental Beauty) / 烏龍茶 / チャノミドリヒメヨコバイ / ストレス応答遺伝子 / Raffinose / Abscisic acid |
Research Abstract |
東方美人茶(Oriental Beauty)は他の烏龍茶と異なりチャノミドリヒメヨコバイ(Jacobiasca formosana,通称ウンカ)に吸汁されたチャ葉から作られ、独特な香気を生み出す。この香気はウンカの吸汁および製造工程中のストレスにより誘導されると考えられる。本研究では東方美人茶製造工程中に生ずるチャの代謝変動を分子レベルで解明することを目的とし、特異的に発現が誘導される遺伝子の検索を行った。 台湾の峨眉において、ウンカ食害を受けたチャ葉および無被害のチャ葉から伝統的手法により烏龍茶を製造した。新鮮葉および製造工程の各段階でチャ葉をサンプリングし、それぞれから全RNAを抽出した。無被害新鮮葉と加害一回攪拌葉、加害新鮮葉と加害一回攪拌葉の2セットについてMegasort法によるディファレンシャルスクリーニングを行った結果、ウンカ食害および製造工程中のストレスにより非常に多くの遺伝子の発現が変動していることが明らかになった。特に発現が著しく増加した遺伝子として、heat shock protein, raffinose synthetase, β-amylase 9-cis-epoxycarotenoid dioxygenaseなどストレス応答遺伝子が数多く同定された。 一方、烏龍茶の製造工程中で多く発現された遺伝子にはraffinoseやabscisic acidの生合成に関する遺伝子が見られた。新鮮葉および製造工程の各段階でのチャ葉から作った烏龍茶において、それらの化合物についてHPLCにより定量的分析を行った。その結果、raffinoseとabscisic acidは製造工程の日光萎凋や一回攪拌で顕著に増加し、それ以後の段階で徐々に減少した。 以上のように東方美人茶の製造工程で引き起こされるチャ葉中の生理学的変化を追跡できた。
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Research Products
(2 results)