2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウンカ食害による台湾鳥龍茶の香気生成向上の分子基盤
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04F04158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂田 完三 京都大学, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHO Jeong-Yong 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 東方美人茶(Oriental Beauty) / 烏龍茶 / 昆虫ストレス / チャミドリヒメヨコバイ / 香気成分 / 2,6-dimethylocta-3,7-diene-2,6-diol / hotrienol / 香気生成遺伝子 / cytochrome P450 |
Research Abstract |
台湾烏龍茶(東方美人)は、他の烏龍茶と異なりウンカに吸汁されたチャ葉を摘採して作られ、独特な香気を生み出す。こでまでに東方美人茶の独特な香気成分として2,6-dimethylocta-3,7-diene-2,6-diol(diol)とhotrienolが検出された。本研究では、東方美人茶の原料であるウンカ加害チャ葉でdiolとhotrienolの生合成に関与する酵素遺伝子を明らかにすることを目指した。ウンカ加害チャ葉でモノテルペン酸化酵素活性を有するシトクロムP450がlinaloolを酸化してdiolやhotrienolを生成すると考えられ、様々なP450遺伝子の探索を行った。昨年度、烏龍茶製造工程中のチャ葉についてdifferential screening分析の結果から得られた P450ホモログ(TOBA)はモノテルペン水酸化に関与するP450と比較的高い相同性を示し、diol及びhotrienolの生合成に関与する可能性が高いと考えられた。そこで、ウンカ加害チャ葉で3_-RACEおよび5_-RACEを行い、TOBAの全長cDNAを単離した。RT-PCRによりウンカ無加害チャ葉に比べてウンカ加害チャ葉でTOBAの転写量は増加していた。 一方、他の植物でモノテルペン水酸化に関与することが知られているP450遺伝子から作成したプライマーを用いて、RT-PCRに行い、ウンカ加害新鮮チャ葉からTOBAと異なる8種のP450ホモログ遺伝子を見出した。これらのP450ホモログについてRT-PCRを行った結果、3種のP450(候補P450)の発現が無加害チャ葉に比べてウンカ加害チャ葉で増加していた。また、見出した8種のうち3種の候補P450はモノテルペン水酸化に関与するP450と比較的高い相同性を示し、diolおよびhotrienolの生合成に関与する可能性が高いと考えられた。 現在、候補P450遺伝子の全長cDNAを取得するため、ウンカ加害チャ葉を用いて、cDNA libraryを構築し、候補P450の全長cDNAの単離を行っている。さらに、TOBAと候補P450遺伝子を昆虫細胞あるいは大腸菌を用いて大量発現し、得られた酵素のlinaloolに対する酸化反応を検討する。
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Research Products
(1 results)