2005 Fiscal Year Annual Research Report
C2-対称不斉求核触媒の開発及び不斉炭素-炭素結合形成反応への利用
Project/Area Number |
04F04161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 猛夫 京都大学, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIANG Changsheng 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機触媒 / 求核触媒 / ピロリジノピリジン / Baylis-Hillman反応 / メソージオール / 不斉非対称化 / 反応加速性 / アシル化 |
Research Abstract |
近年、環境調和性の観点から金属を含まない有機触媒が注目されている。本研究では有機触媒として求核触媒に着目し、4-ピロリジノピリジン(PPY)を基本骨格とする不斉求核触媒の開発を行なった。触媒設計の基本方針は、高い触媒活性を維持するため活性中心であるピリジン窒素の近傍には置換基を導入せず、遠隔位の置換基による不斉誘導を行なう点にある。本研究ではC_2-対称性を持つPPY型不斉求核触媒の開発を目的とした。本触媒を用いてメソージオール類の不斉非対称化、および不斉Baylis-Hillman反応を検討した。 L-グルタミン酸を出発物質とし5工程を経てPPY-2,5-ジカルボン酸(1)を得た。1の2位および5位には任意の官能基側鎖を導入できるため、二官能基性キラルPPYのライブラリー構築が可能である。実際に10種類のアミノ酸やアミン類との縮合によるC_2-対称PPY型不斉求核触媒をミニライブラリーを合成した。これらの内、n-ブチルアミンとの縮合により得た触媒2はメソ-シクロヘキサン-1、2-ジオールの室温での不斉非対称化でモノアシル化体を99% eeで与えた。同様の反応を対応する1官能基性触媒3で行なうとモノアシル化体の光学純度は76% eeであった。また触媒によるアシル化の反応速度の相対値はPPY:3:2=1.0:1.1:1.7で、ピロリジン環の置換基が多いほどエナンチオ選択性が向上すると共にアシル化速度も大きくなることがわかり、反応加速性を伴った選択性発見であることが示唆された。また、これらの触媒をaza-Baylis-Hillman反応に適用したところ、チロシン側鎖を持つ触媒が高い触媒活性を示したが、不斉誘導は最大で48% eeに止まり、現在さらに検討中である。
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