2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04162
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
浅川 義範 徳島文理大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QUANG Dang Ngoc 徳島文理大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 非食菌類 / アザフィロン / グリフォリン / テルフェニル / ラノスタン / TNF-α遊離抑制 / 抗菌活性 / NO産生抑制 |
Research Abstract |
平成16年度の研究方法を踏襲して今年度もベトナム産非食菌類を中心にそれらの薬理活性成分の単離、絶対構造決定および抗微生物活性ならびにNO産生抑制活性実験を行い、それらの結果は合計10報の論文として掲載され、3報は印刷中である。1:イボタケ科イボタケ(Terephora terrestris)からは7種の新規p-テルフェニル構造を有する化合物を精製し、それぞれの構造決定を行った。これらの化合物は液晶の基本構造を有するもので、天然物としてはきわめて稀な化合物である。またこれらの類似化合物は全く科の異なるヒダハタケ科のヒダハタケ属にも見られ、両科が極めて近縁であることを証明した。2:多孔菌科サルノコシカケ属の一種、Fomitopsis spragueiから5種の多酸素化されたラノスタン骨格を有するトリテルペンを得、それらの構造を主としてX-線結晶解析により決定した。3:ニンギョウタケモドキ科コウモリタケ(Albatrellus dispansus)からプレニルフェノール類であるグリフォリンおよびその誘導体を多数単離構造決定したのち、それらの天然物を合成し生理活性を調べた結果、それぞれに強い抗HIV-1,TNF-α抑制活性またグラム陰性、陽性菌、クロカビ、白癬菌類に対し強い抗菌活性示すことが明らかとなった。4:また同属のA.caeruleoporusにも2種の新規グリフォリン誘導体を含有し、これらもNO産生抑制活性を示した。5)クロサイワイタケ科Hypoxylon multiformeから4種の新規アザフィロン骨格を有する化合物を単離構造決定、それらが黄色ブドウ状球菌などに対し、抗菌活性を示した。さらにこれまでに得たアザフィロン類はRAW264.7細胞におけるNO産生抑制を示すこと、強い抗酸化活性のあること見出した。クロサイワイタケ科チャコブタケ属(Daldinia)には蜘蛛のメスの性誘引フェロモンの他にD.chidiaeのようにベンゾフェノン誘導体を含有する種があることも証明でき、これらの化合物は上記グリフォリン誘導体よりも強烈なNO産生抑制効果のあることが明らかになった。さらにクロサイワイタケ科Xylaria intracolorataからcoratinと命名した2種の芳香族化合物を単離構造決定し、それぞれの化合物はグラム陰性、陽性菌、クロカビ白癬菌に対し市販品のゲンタマイシンやニスタチンと同程度の強い抗菌、抗活性を示した。上記結果は総説としてもまとめられ、ひとつはクロサイワイタケ科キノコの核菌綱、クロサイワイタケ目クロサイワイタケ科に属する二次代謝物の構造と生理活性として、もう一方は非食菌類:生理活性物質の良き資源と題して132の構造式、102の文献(内44報は著者らの研究成果)を掲載した総説をインパクトファクターの高いJournal of Chemical Records(Wiley & Sons)に掲載受理された。また共同研究者のDr. Dang N.Quangは平成17年10月12-17日に開催された国際薬用菌類会議に出席し、2報の論文を口頭発表し、それらも国際薬用菌類学会誌に掲載された。本プロジェクトは今回で終了するが、さらにDang N.Quang博士と共同研究を継続して行うことになっている。
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Research Products
(13 results)