2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04168
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 恵 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RASHID Md Harunor 九州大学, 大学院・医学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 先制鎮痛 / 神経因性疼痛 / 慢性疼痛モデル / 神経損傷 / 膠様質細胞 / in vivoパッチクランプ記録 / 脊髄後角 / モルヒネ |
Research Abstract |
四肢の複雑骨折などで切断を行う際、あらかじめ痛みを取った状態で手術を行うと、四肢切断によって惹起される痛覚過敏や幻肢痛などが軽減されることが報告されている。しかし、その制御機序は明らかではない。そこで、末梢神経損傷モデルに発現する神経因性疼痛を指標に、神経損傷の前にモルヒネを用いて鎮痛を行った群と、非投与群に見られる痛覚過敏の程度をin vivoパッチクランプ記録法と行動薬理学的手法を用いて解析した。エーテル麻酔下に、成熟ラットの第5腰髄後根を結紮した後、結紮部位の末梢側を切断して神経因性モデルラットを作製した。まず、von Frey hairテストを用い、行動薬理学的に痛覚過敏の程度を測定した。あらかじめモルヒネを投与した群では、神経損傷後に見られる痛覚過敏の程度が非投与群と比較して軽度であった。次に、末梢からの機械的痛み情報が投射される脊髄膠様質細胞からin vivoパッチクランプ記録を行い、皮膚刺激によって誘起されるシナプス応答を解析した。まず正常ラットでは、触と機械的痛み刺激によってEPSCの発生頻度と振幅が著明に増加したが、その程度は侵害刺激と非侵害刺激で有意差が見られなかった。次いで、神経損傷ラットから記録をおこなった。痛み刺激によって誘起されるEPSCの発生頻度は触刺激のそれと比較して高かった。しかし、その振幅には相違は見られなかった。一方、モルヒネをあらかじめ投与したラットで同様の実験を行ったが、痛み刺激によって誘起されるEPSCの発生頻度が減少する傾向が見られた。しかし、その振幅には有意な変化は見られなかった。今後、記録細胞数を増やし、モルヒネの先行投与によってEPSC発生頻度の減少に有意差が見られるか否かを検討していく。また、モルヒネによる作用がオピオイド受容体のmu-receptorに作用して発現しているか否かを明らかにする。
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Research Products
(24 results)