2004 Fiscal Year Annual Research Report
成魚の透明メダカを使ったゲノムワイド突然変異生成による遺伝性疾患モデルの開発
Project/Area Number |
04F04169
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若松 佑子 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FEDOROVA Svetlana A. 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 透明メダカ / 変異体スクリーニング / 心臓肥大 / 心房・心室逆立 / 腎臓発生 / 腎臓再生 / 3Dイメージング |
Research Abstract |
純系動物開発利用研究分野で二つの研究を行っている。一つは透明メダカを用いたENUゲノムワイド-変異体スクリーニングで、もう一つは変異体表現型の解析の基準とするための野生型メダカを用いた腎臓の発生および形態に関する研究である。 変異体スクリーニングに関してはF1世代で、合計23の優勢変異体候補を見いだした。心臓に肥大または異常が見られるもの9、腎臓が肥大しているもの7、肝臓の色が白色を呈するもの6、眼球が突出しているもの1、であった。これらの変異体を透明メダカ(ST11 13b/b)と交配したF2世代では、8変異体で不妊であった。他の15変異体から得られたF2について組織学的検索を行った。その中でEII-15-11-BH(雄)では心臓が肥大しており、腎臓および肝臓にはリンパ球や腫瘍状組織が見られた。EII-12-5-BH(雌)では心臓肥大症が見られた。EII-24-19-BHでは心臓が肥大していて、心房と心室が逆転していた。F2世代の他の家系についての解析はこれからである。 腎臓(中腎)の発生および形態に関する研究では、1〜7ヶ月令の腎臓の切片を作製し、それらを用いて腎臓組織の三次元イメージングよる再構築を行っている。この結果、メダカでは腎臓の発生は孵化後にも停止せず、稚魚期および成体になっても1ヶ月は続くこと、片方の腎臓あたり250個の糸球体が形成されること、糸球体は全生涯を通して肥大すること、が明らかになった。これらの結果からメダカの腎臓は孵化後にも高い再生能力を有していると考えられる。このことは腎臓の発生が誕生後には停止する哺乳類とは対照的である。新生された中腎の糸球体は腎臓の全長に渉って均一に分布しており、エイ(Elasmobranch Leucoraja erinacea)に見られるような腎臓新生のための特別な部域は見られなかった。
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