2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物生理学的および遺伝学的手法によるイネ形態形成におけるオーキシンの役割
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04F04177
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鶴見 誠二 神戸大学, 研究基盤センター, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHHUN Tory 神戸大学, 研究基盤センター, 外国人特別研究員
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Keywords | aux influx carrier / イネ / indole-3-butyric acid / indole-3-acetic acid |
Research Abstract |
1、イネ(Oryza sativa L.ssp.indica cv IR8)オーキシン抵抗性変異株arm2の根におけるオーキシンの取込み活性について解析した結果、イネ根にはindole-3-acetic acid (IAA)のinflux carrierとは異なり、もう一つの天然オーキシンであるとindole-3-butyric acid (IBA)に特異的なinflux carrierが存在することが示唆された。^3H-IAAおよび^3H-IBAを用いて、arm2変異株と野生形IR8の根におけるオーキシンの取込みおよび輸送を比較したところ、arm2根ではIBAの取込みと輸送に欠陥が認められたが、IAAの取込みと輸送については正常であった。また、arm2根の成長はIBA抵抗性を示したが、IAAによる成長抑制は正常であった。更に、arm2根の側根密度は、野生型よりわずかではあるが有意に低く(P<0.05)、拡散によって細胞内に取込まれることが知られている1-naphthalenecetic acid (NAA)処理によって、arm2の側根密度と野生型との差が消失した。このことは、Arm2遺伝子は、IBAの取込みに必要な遺伝子であり、イネの根には、IAAのinflux carrierとは別に、IBAに特異的なオーキシンinflux carrierが存在することを示しているばかりでなく、内生のIBAがイネの根の側根形成に必要であることを示唆している。IAAのinfluxは正常であるにも拘らず、IBAのinfluxに欠損のある変異体はイネarm2が初めての報告である。従って、イネarm2は、内生IBAの役割を調べるには非常に有効な変異体であることが分かった。 2、DDBJでデータベース検索を行い、イネ(ただし、ssp.japonia)にも、シロイヌナズナのオーキシンinflux carrierであるAUX1に類似した配列があり、少なくともゲノム上に4つの遺伝子が認められた。DDBJのデータベースを基にしてプライマーを設計して試みたところ、4つの遺伝子とも野生型IR8の根ばかりでなく、arm2変異株の根でも発現していることが認められた。
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