2006 Fiscal Year Annual Research Report
集光性色素アンテナタンパクLHCII複合体の構造と機能
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04F04178
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Research Institution | Okayama University |
Host Researcher |
沈 建仁 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
LENG J. 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 光合成 / 光化学系II / 酸素発生 / 脂質 / 膜タンパク質 / タンパク質複合体 / 立体構造 |
Research Abstract |
好熱性ラン色細菌Thermosynechococcus vulcanus由来光化学系II複合体(PSII)の二量体をホスホリパーゼ処理することにより、リン脂質が特異的に分解され、それに伴いQ_AからQ_Bへの電子伝達が阻害された。しかし、同処理を施したPSIIでもリン脂質が2-3分子結合しており、酸素発生活性の阻害率が40%程度にとどまったことから、リン脂質が同PSIIに強く結合していることが示唆された(論文投稿中)。また、リパーゼ処理によりMGDGが約60%分解され、PSIIあたり5分子残存することになるが、酸素発生活性はわずか16%阻害されただけであった。これらの結果からMGDGやリン脂質などの脂質分子が同PSIIに強く結合することにより、好熱性ラン色細菌PSIIの高い熱安定性に寄与していることが示唆された。そこでより不安定な高等植物のホウレン草からPSII二量体を精製し、同様な処理を行なったところ、ボスホリパーゼ処理によりリン脂質が、また、リパーゼ処理によりMGDGがほぼ完全に分解され、それらに伴い酸素発生活性がいずれも未処理の20%程度に低下したことが分かった。これらの処理によるPSII電子伝達反応への阻害部位を、酸素電極、DCIPの光還元活性、蛍光収率などの各種手法を用いて調べた結果、いずれの場合も水分解反応のみならず、還元側(電子受容タイ側)も阻害されたことが分かった。しかし、いずれの処理もPSIIのタンパク質組成に影響を与えなかった。これらの結果から、リン脂質またはMDGDの完全な分解により、PSIIの立体構造が維持できなくなり、それによりPSIIの全体活性が低下したことが示された(論文投稿準備中)。
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Research Products
(1 results)