2004 Fiscal Year Annual Research Report
シマショウジョウバエ亜属と近縁属及び亜属の系統的位置付け
Project/Area Number |
04F04184
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Research Institution | Hokkaido University |
Host Researcher |
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授
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Foreign Research Fellow |
HU Yao Guang 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 28s rRNA / Adh / CoII / DNA / Lordiphosa / ND2 / Phylogeny / Sophophora |
Research Abstract |
我々の先行研究によって明らかになった、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を含むシマショウジョウバエ亜属とニセヒメショウジョウバエ属の系統関係に着目して、分子系統解析を行った。特に、中南米特産で、進化遺伝学的研究が進んでいる、シマショウジョウバエ亜属のDrosophila saltans種群、Drosophila willistoni種群とアジア〜ヨーロッパ特産のニセヒメショウジョウバエ属の関係を明らかにするために、これらの分類群を代表する種をなるべく多く選び、2つの核遺伝子(Adh,28s rRNA)と2つのミトコンドリア遺伝子(CoII, ND2)の塩基配列を決定した。 本研究によって得られたデータに、これら4遺伝子の既知の配列データを付け加えて、ショウジョウバエ亜科合計26種について、個々の遺伝子ごと、および4つの遺伝子を統合した配列データを用いて、最小進化法(ME)と近隣接合法(NJ)による系統推定を行った。得られた系統樹は、異なる遺伝子および解析法間で変異したが、4遺伝子を統合したデータセットに基づく系統樹は、系統樹の基部から末端まで比較的解像度が高く、次のような系統仮説を提供した。 1.D.willistoni種群とD.saltans種群は、単系統群を形成する。 2.ニセヒメショウジョウバエ属は、上記の単系統群と姉妹群の関係にある。 3.D.willistoni種群とD.saltans種群を除いた残りのシマショウジョウバエ亜属は単系統であり、ニセヒメショウジョウバエ属+(D.willistoni種群+D.saltans種群)の単系統群と姉妹群の関係にある。 以上の結果は、既に海外からも高い関心が寄せられているので、早急に論文として発表すると共に、今後、形態形質による解析を加えて、分類体系の見直しを行う計画である。
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