2005 Fiscal Year Annual Research Report
シマショウジョウバエ亜属と近縁属及び亜属の系統的位置付け
Project/Area Number |
04F04184
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Research Institution | Hokkaido University |
Host Researcher |
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授
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Foreign Research Fellow |
HU Yao Guang 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 28srRNA / Adh / COII / DNA / Lordiphosa / ND2 / Phylogeny / Sophophora |
Research Abstract |
昨年に引き続いて、DNA分子情報による、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を含むシマショウジョウバエ亜属とニセヒメショウジョウバエ属の系統関係の解析を行った。 まず、研究材料を昨年の27種にから38種まで増やした。特に、本研究でその系統的位置付けに注目しているニセヒメショウジョウバエ属のものを10種追加した。これら38種の4遺伝子座(Adh、28srRNA、CoII、ND2)の配列データに関して、個々の遺伝子ごと、および4つの遺伝子を統合した配列データを用いて、最大節約法(MP),最尤法(ML)及びベイズ法により解析を行った。得られた系統樹は、異なる遺伝子および解析法間で変異したが、4遺伝子を統合したデータセットに基づく系統樹は、系統樹の基部から末端まで解像度がとても高く、次のような系統仮説を強く示唆した。 1.D.willistoni種群とD.saltans種群は、単系統群を形成する。 2.ニセヒメショウジョウバエ属は、上記の単系統群と姉妹群の関係にある。 3.D.willistoni種群とD.saltans種群を除いた残りのシマショウジョウバエ亜属は単系統であり、ニセヒメショウジョウバエ属+(D.willistoni種群+D.saltans種群)の単系統群と姉妹群の関係にある。 分子系統解析と平行して、上記の38種に2種を加えた40種について、成虫の形態形質を比較して、分岐系統解析に用いる50の形態形質を抽出した。現在、得られたデータの解析中である。 2年間の研究によって、ショウジョウバエ亜科全体の分類体系見直しの必要性を示唆する、非常に信頼性の高い系統仮説が得られた。分子系統解析の結果を、早急に国際誌に発表すると共に、形態形質による解析、分子情報と形態情報を統合した解析を進め、それらの結果に基づいて、キイロショウジョウバエを含む最大属、ショウジョウバエ属(Drosophila)、の側系統性を解消すべく、ショウジョウバエ亜科の分類体系を整理して見直す計画である。
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Research Products
(1 results)