2005 Fiscal Year Annual Research Report
21番目のアミノ酸セレノシステインの蛋白質への取込み機構の立体構造基盤の解明と人工システムの構築
Project/Area Number |
04F04186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神田 大輔 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RASUBALA L. 九州大学, 生体防御医学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | セレノシステイン / 伸長因子SelB / Moorella thermoacetica / X線結晶解析 / SECIS / タンパク質核酸複合体 / ウングドヘリックスモチーフ |
Research Abstract |
セレノシステインは酸化還元に関わる蛋白質の活性残基として働く.セレノシステインをコードするコドンは、通常終止コドンとして使用されているUGAである。原核生物の場合,終止コドンUGAの下流にSECIS(selenocysteine insertion sequence)と呼ばれる特殊なRNA配列が存在すると、UGAはセレノシステインを指定するコドンへと変化する。このとき、リボゾームのA-siteに結合するのはセレノシステイニルtRNASecであり、蛋白質の翻訳は終結せずにセレノシステインが取り込まれる。 伸長因子SelBはtRNAを結合するN末端部分とSECISに特異的に結合するC末端部分からなる.昨年度は酢酸生産菌Moorella thermoacetica由来のSelBのC末端ドメインの一部であるRNA結合最小ドメイン(残基512-634C末端)とSECIS(ヘアピン構造RNA)の複合体の構造決定を行った.その結果DNAに結合する有名なウィングドヘリックス(WH)モチーフがSECIS RNAの先端にあるループ構造を新規の認識モードで結合することがわかった.また、SECISの結合によりSelB分子の構造変化は見られず、これまで提案されてきたSECIS結合によるSelBのN末端ドメインとC末端ドメインの協同的な働きは、リボソームを介するものである可能性が示唆された。そのため、本年度はSelBのより大きな領域の構造解析を進めるべく、C末端ドメイン全体とSECIS RNAとの複合体の結晶化に取り組んだ。その結果、2種類の条件で結晶が得られた。分子置換法による解析により、正しい解を得ることに成功した。初期解析を終了した段階であるが、予想外のSECIS RNAとSelBの結合様式が観察された。
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