2004 Fiscal Year Annual Research Report
一分子生理学の立ち上げ:一個の分子機械の機能と構造変化の直接観察
Project/Area Number |
04F04188
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Host Researcher |
木下 一彦 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授
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Foreign Research Fellow |
PATRA Dingambara 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 日本学術振興会外国人特別研究員PD
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Keywords | 磁気ピンセット / 磁気ビーズ / ブラウン運動 / F1-ATPase / ATP合成 |
Research Abstract |
たんぱく質分子に力を加え、あるいはたんぱく質分子の出す力を測定するため、磁気ピンセットシステムを構築している。従来のシステムは、磁力が弱くかつ高速回転ができなかったので、電気系を作り直し、1μm程度の磁気ビーズを10Hz以上で確実に回せるようにした。また、等速回転だけでなく、回転角度を自在にプログラムできるシステムも構築した。 磁気ピンセットシステムは、磁気ビーズを用いてたんぱく質分子に引力ないし回転力を印加するものだが、市販の磁気ビーズは大きさ・形・磁気的性質などが不揃いで、きちんとした分子操作ができない。均一なビーズを調製するため、セルソーター、沈殿法、フィルター法など種々試みているが、まだ満足いく結果が得られていない。たんぱく質分子の出す力の計測には、現状では、ビーズ1個1個につき較正が必要となる。回転力に関し、ブラウン運動を利用した較正法を開発した。 上記のシステムを用い、F1-ATPaseを強制逆回転させ、合成されるATP量をきちんと測定することを試みている。磁気ピンセットの力が強くなったおかげで、大きめのビーズも磁場に追随するようになり、見かけの合成効率が向上した(本来の合成効率に近い値が得られるようになったと解釈している)。まだビーズの不均一性の問題が完全に解決していないが、基質(ADPおよび燐酸)濃度依存性、回転速度依存性などの予備的測定を開始した。ATP合成を最初に証明した報告における条件は、十分基質濃度が高いものと考えていたが、実際には、基質濃度をさらに上げることにより合成効率が上がる傾向があるようである。
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