2004 Fiscal Year Annual Research Report
血糖値に応答してインスリン遺伝子の転写を行う膵島β細胞特異的転写因子MafAの生化学的機構の解明
Project/Area Number |
04F04189
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 浩介 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAN Song-iee 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 転写制御因子 / インスリン / 遺伝子発現 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
インスリンは血糖値を保つために必要不可欠なペプチドホルモンであり、その制御システムの破綻は糖尿病を引き起こす。インスリン遺伝子の発現は膵臓ランゲルハンス島のβ細胞に特異的で、かつグルコース濃度依存的であり、bZip型転写因子MafAがこれを担う重要な因子である。当研究では、MafAの活性の制御機構を分子生物学的・生化学的手法を用いて解析することにより、これまで未解決であったインスリン遺伝子のグルコースによる発現調節を解明することを目的とする。 本年度は、膵島β細胞由来細胞株においてMafAがリン酸化を受けるアミノ酸残基(セリンあるいはスレオニン)をそれぞれ、あるいは組み合わせてアラニンに置換した変異体を作製し、その挙動を調べた。いずれの変異体も核内に局在することを確認した。インスリン遺伝子プロモーター上のMafA結合部位であるRIPE3b配列に対する結合能をゲルシフト法によって調べたところ、DNA結合能があきらかに減弱している変異体を発見した。またインスリン遺伝子プロモーターの活性化能をルシフェラーゼアツセイによって調べたところ、転写活性可能が上昇した変異体を発見した。したがって、特定の部位のアミノ酸のリン酸化によってMafAのDNA結合能や転写活性化能が制御されている可能性を見いだすことができた。現在、その分子メカニズムを追究している。 また、MafAが膵島β細胞由来細胞株においてSUMO (small ubiquitin-like modifier)タンパク質による修飾を受けていることを発見した。さらに、SUMO修飾を受けるアミノ酸残基(リジン)を特定した。SUMO修飾によりMafAの生物活性がどのように変化するのかを検討したところ、DNA結合能やタンパク質の安定性、細胞内の局在などには影響を与えないことをあきらかにした。一方、MafAの転写活性化能がSUMO修飾の有無によって変化することを見いだし、その具体的な分子メカニズムを引き続き解析中である。
|
Research Products
(1 results)