2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗原特異的免疫反応の分子制御機構の解明 〜癌・アレルギー性疾患の病態解明を目指して〜
Project/Area Number |
04F04191
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Research Institution | Kagoshima University |
Host Researcher |
松口 徹也 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
MUSIKACHAROEN Tipayaratn 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Th1 / Th2分化 / MAPキナーゼ / トランスジェニックマウス / PBC / 自己免疫疾患 / T細胞 / 細胞内シグナル伝達 / アレルギー |
Research Abstract |
Th1/Th2分化機構の解明は、感染症、発癌、自己免疫疾患やアレルギー疾患の薬物療法の標的分子の特定にとって極めて重要である。我々が以前クローニングしたMAPキナーゼフォスファターゼの一つであるMKP-Mは、ナイーヴヘルパーT細胞に少量発現され、Th1分化でその発現量が減少し、Th2分化で上昇することから、Th1/Th2分化調節に特に重要な役割を果たす可能性がある。MKP-Mの生体内Th1/Th2分化における役割を明らかにするため、以下の解析を行った。 本年度の研究実績 1)Lckプロモーターを用いたT細胞特異的なMKP-M(野生型およびDN変異体)のトランスジェニック(Tg)マウスの系統を確立した。DN変異体Tgマウスの一部では胸腺内T細胞分化異常を認めた。野生型およびDN変異体Tgマウスの卵白アルブミン(OVA)抗原感作を行い、抗原特異的免疫反応を血中免疫グロブリンサブタイプ濃度、各種サイトカイン濃度により解析し、コントロールマウスと比較した。野生型Tgマウスにおいては、血中のOVA特異的IgG1、IgEサブタイプ抗体の増加、およびIL-4産生量の増加を認め、逆にDN変異体Tgマウスにおいては、IgG2aサブタイプの増加、IFNγ産生量の増加を認めた。これらの結果から、MKP-Mの生体内Th1/Th2分化における重要な役割が示唆された。この内容をまとめて、現在論文準備中である。 2)Th1優位なDN変異体Tgマウスをピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDC)抗原で感作し、典型的な自己免疫疾患である原発性胆汁性肝硬変(PBC)マウスモデルの作成を試みた。DN変異体Tgマウスは未感作でも血中抗ミトコンドリア抗体の陽性を認め、抗原感作にて強い肝障害を来したことから、PBCマウスモデルとして有用な可能性がある。現在、更なる解析を継続している。
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