2005 Fiscal Year Annual Research Report
軟腐性Erwinia属細菌におけるペクチンで誘導される遺伝子群のアレー解析
Project/Area Number |
04F04196
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
露無 慎二 静岡大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BLAKRISHNAN V. 静岡大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 植物病原細菌 / エルウイニア属細菌 / PhoP-PhoQ二分子制御機構 / シデロフォア / マイクロアレー解析 |
Research Abstract |
植物病原細菌エルウイニア属細菌は、植物組織内でペクチナーゼ(中でも、ペクチン酸リアーゼ,Pel)を大量に生産・分泌することで、植物組織を崩壊して,軟腐症状に導く。ここでは、Pelの植物成分による超誘導にグローバルな制御を司るPhop-phoQ二分子制御機構(TCS)が重要な役割を果たす事が明らかになった。そこで、このTCSの内、特に制御因子として機能するPhoP遺伝子の変異株と野生型の同病原菌をPel非誘導状態で、一体どのような下流遺伝子が発現されるのかについて,マイクロアレーを用いて解析を行った。なお、このマイクロアレーは、同病原細菌の世界レベルのゲノム解析プロジェクトチームに参加し、その情報をもとに、スコットランド農作物研究所のIan Toth主任研究員のもとでアジレント社が作成したオリゴアレーを用いた。その結果、phoQ変異株で、野生型に比べて35の遺伝子が統計的に意味のある誘導を示し、5遺伝子が統計的に意味のある抑制を受けていた。これらを機能別に表すと、誘導遺伝子としては,未知遺伝子(5)、鉄取込み関連遺伝子(13)、一般代謝関連遺伝子(3)、一般トランスポーター遺伝子(3)、毒素生産関連遺伝子(3)、ストレス反応関連遺伝子(3)、転写制御因子(4)であった。抑制を受けたのは、一般トランスポーター遺伝子(2)と、独生産遺伝子、ストレス反応遺伝子、転写制御遺伝子が各1個であった。これらの遺伝子の中に、Pel生産を超誘導に導くものと考えられる。また、従来から、本病原細菌の発病に環境中の鉄が重要な働きを示す事が知られていたが,今回のアレー実験でも、PhoP-PhoQTCSが病原性発現に重要な役割を果たす一側面を見る事が出来た。実際,本病原細菌の野生型菌と上記phoQ欠損変異株を信号物質のひとつである異なるマグネシウム500μMの条件下で、野生型と変異株の間で、鉄シデロフォアの生産の違いが見られた。また、上記マイクロアレー解析の結果と同様誘導結果をRT-PCRで示す事ができた。これらの結果については,既にJ.Bacteriol.に受理され,4月号に掲載される事になっている。
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Research Products
(1 results)