2005 Fiscal Year Annual Research Report
生態系における炭の役割と外生菌根菌を用いた森林修復試験
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04F04204
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Research Institution | Hokkaido University |
Host Researcher |
笹 賀一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授
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Foreign Research Fellow |
QU Laiye 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 外国人特別研究員
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Keywords | カラマツ属 / 外生菌根菌 / 根圏 / 炭 / 生態系修復 |
Research Abstract |
根圏バクテリア-根圏における「接着剤」の役割が注目されている。事実、野外から分離したバクテリアを添加するとPtの効果が明瞭に現れてきた。現在、バクテリア分離法の改良と予備試験を行っている。山火事後には、微生物の活動が大きく変化する。中央シベリアを広く覆うグイマツ林には、かならず、イグチ類をはじめとする外生菌根菌が活動し、成林を助けている。「炭」の有無は生態系の維持に重要な働きをしていると考えられる。自然を模倣することで、より確実に成林を達成するために、現在の各種「炭」を介した共生関係を調べている。例えば、グイマツ雑種F1の成長に及ぼすPt接種効果は、ソバガラ>籾殻薫炭≧ミズナラ炭の順であった。また、菌根菌を1種類のみ加えるより、混菌あるいはEC(エクト・ドレンチ)を利用する事によって、宿主の成長が促進されることも明らかになった。以上のことを裏付けるように、混菌の種数と宿主の成長の間には、頭打ちはあるが右上がりの関係が認められた。従って、どのような組み合わせが効果的か検討する必要が有ろう。さて、外生菌根菌は宿主の光合成産物を利用して成長する。その割合は、1個体の光合成産物の最大30%程度といわれているが、イグチ類(Suillus grevillei)を接種したグイマツ雑種F1苗木に放射性同位体^<14>C試験を吸収して追跡して調べたところ、外生菌根菌の炭素消費量は、約16%と推定された。森林生態系の呼吸消費が、温暖化ガス吸収源として注目される森林のNEE(純生態系CO_2交換速度)の推定に重視されている。しかし、微生物バイオマスの動態と並び、外生菌根菌の光合成によって固定された炭素の消費は、緑化のみならず生態系の機能評価に重要な因子であり解明が待たれる。
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Research Products
(2 results)