2004 Fiscal Year Annual Research Report
フグ毒(TTX)産生細菌に関する研究-毒産生の最適化と産生機構の解明
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04F04212
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
荒川 修 長崎大学, 水産学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YU Chun Fai 長崎大学, 水産学部, 外国人特別研究員
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Keywords | テトロドトキシン(TTX) / TTX産生細菌 / コモンフグ / ヒガンフグ / ニホンイモリ / ツムギハゼ / ウモレオウギガニ / ORI倍地 |
Research Abstract |
研究分担者は、これまでに中国産フグ類を対象として、分類、生態、ないし毒性学的研究を行ってきたが、その過程で、有毒種の内臓から強力なフグ毒テトロドトキシン(TTX)産生能を有する細菌を分離することに成功した。本研究では、この成果に基づき、まずTTX産生細菌について至適毒産生条件の構築を目指す。 研究分担者は、平成16年8月14日の来日以来、実験機材や試薬類などの準備を整えるとともに、TTXの生合成経路の解明、TTX産生遺伝子のクローニングなども視野に入れ、関連文献の検索を行ってきた。加えて、既に分離しているTTX産生細菌につき、当研究室における継代培養を確立後、中規模培養を行ってTTX産生能を再確認した。 一方、種々の生物から細菌を分離し、TTX産生能のスクリーニングを行った。フグ毒保有生物としては、長崎県産のコモンフグ、ヒガンフグ、ニホンイモリ、および沖縄県産のツムギハゼ、ウモレオウギガニを、無毒生物として長崎県産の養殖トラフグ、ベラ、メゴチ、ヒメダカを用いた。各生物の体表または腸管から計30菌株を分離し、各々ORI培地を用いて、室温で7日間培養した。このうち22菌株の培養液(菌体を含む)については、超音波処理後、酢酸を添加して加熱し、0.45μmのフィルターで濾過した上、LC/MS分析に供した。残り8菌株の培養液については、同様に超音波処理後、活性炭処理に付し、得られたTTX画分をTTX-ELISAに供した。その結果、LC/MS分析では、供試した22菌株中ヒガンフグ腸管由来の1菌株から、培地1ml当たりΦ1MUに相当する量のTTXが検出された。一方、TTX-ELISAでは、供試した8菌株(コモンフグ、イモリ、ハゼ、カニ、トラフグの体表由来それぞれ2、1、2、1、2菌株)すべてから、培地1ml当たり2.1×10^<-3>〜3.4×10^<-3>MUに相当するごく微量のTTXが検出された。
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