2004 Fiscal Year Annual Research Report
LCMとcDNAマイクロアレイ手法を用いた肝臓幹細胞と肝癌細胞の遺伝子発現
Project/Area Number |
04F04226
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
杉山 俊博 秋田大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHEIDL Stefan J. 秋田大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 肝細胞 / p53 / 卵形細胞 / 肝臓幹様細胞 / HSLC / レーザーマイクロダイセクション法 |
Research Abstract |
肝臓には胆管と肝細胞の二方向に分化できる肝臓幹細胞が存在しており、当教室ではすでにウィルソン病モデルラットから肝臓前駆細胞である「卵形細胞(oval cell)」や健常ラットから「肝臓幹様細胞(HSLC)」の樹立化に成功した。3'-Me-DABで誘発した肝がん発生過程において、正常・前がん病変・がん部組織をレーザーマイクロダイセクション法にて細胞を採取し、包括的な遺伝子発現変異を解析した。F344ラット肝化学発癌過程におけるGST-P陽性病巣と胆管線維症病変部において、p53 mRNAの発現量がまずはじめに増加し、経時的に徐々に減少した。逆に、p53遺伝子の変異率は経時的に上昇した。一方、p53の蛋白質の蓄積は肝化学発癌過程後期に認められた。LightCycler RT-PCR法によるmRNA発現の定量結果から、GST-Pは初期の前癌病変のマーカーとして有効であることを確認した。肝癌のマーカーであるAFPは、3'-Me-DAB誘発F344ラット肝発癌過程における増殖病変、胆管線維症で強く発現していたことから、胆管線維症は癌化と関係があると考えられた。アルブミンmRNAの発現量は初期の前癌病変でも明らかな減少を認めた。 以上、発癌に長期間を要すること、前癌病変が存在することなどから遺伝子変化は一挙におこるのではなく、正常組織から前癌病変を経て癌に進行していく多段階過程で次第に蓄積すると考えられた。肝癌では前癌病変、初期肝癌、進行肝癌といった多段階の発癌過程において遺伝子の異常が注目されている。本研究では肝化学発癌過程における前癌病変の遺伝子の異常を解明するため、3'-Me-DABによるF344ラット化学肝発癌モデルを利用し、p53遺伝子の異常と肝腫瘍マーカーGST-P、AFPおよび肝臓特異的蛋白Albumin遺伝子mRNA発現量と蛋白質の変化を分析した。
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Research Products
(6 results)