2004 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける大腸がんの環境要因・遺伝的要因の交互作用の研究
Project/Area Number |
04F04237
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
徳留 信寛 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 静文 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | MTHFR / 大腸がん / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
欧米諸国と比べ、インドでの大腸がん罹患率は非常に低い。インドには各種ベジタリアンがおり、食物繊維摂取量が多く、また、脂肪摂取量が少ないので、大腸がん罹患率が低いのではないかと考えられる。遺伝的要因・環境要因と大腸がんとの関連を明らかにするために、インドにおける大腸がんの症例対照研究を行った。 インド、マドラスがん研究所において、1999年から2001年までの大腸がん症例302例(結腸がん59例、直腸がん243例)、一般対照群291例を収集した。末梢血リンパ球からDNAを抽出して、PCR-RFLP法により、MTHFR(Methylenetetrahydrofolate Reductase)Codon 677と1298の遺伝子多型を解析した。なお、すべての研究対象者からインフォームドコンセントを入手した。解析はSAS(version 8.2)を使用し、unconditional Logistic RegressionによるOdds比を計算した。 遺伝子型の分布についてMTHFR677CC、CT、TT遺伝子型の頻度は、症例群のなかでそれぞれに85.1、14.2、0.7%で、対照群のなかで87.6、12.4、0.00%である。インド人のMTHFR677変異遺伝子の頻度が非常に少なかった。MTHFR 1298AA、AC、CC遺伝子型の頻度は、症例群のなかでそれぞれに46.7、43.0、10.3%で、対照群のなかで36.1、46.4、17.5%である。変異したMTHFR1298遺伝子は対照群より症例群のほうが著しく少なく、統計学的に有意差が見られた。変異したMTHFR 677遺伝子と大腸がんリスクとの有意な関連はなかったが(OR=1.31、95%CI 0.78-2.23)、MTHFR 1298のAC、CC genotypeはそれぞれ結腸がんを発症しにくいこと(OR=0.43、95%CI 0.22-0.82;OR=0.30、95%CI 0.09-0.81)、MTTHFR1298のCC genotypeは直腸がんを発症しにくいこと(OR=0.43、95%CI 0.23-0.80)が示された。さらに、non-fried野菜の高摂取およびMTHFR1298CC genotypeの共存は低い大腸がんのリスクと関連している(OR=0.19、95%CI 0.08-0.43)。
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