2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04253
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽布川 寛 京都大学, 人文科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ERIKA A. Forte 京都大学, 人文科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 中国 / 龍門石窟 / 佛教 / 大奉先寺 / 文彦博 |
Research Abstract |
本研究は、679年に唐高宗の勅命によって龍門に建立された大奉先寺の歴史を考古美術と文献の両側面から解明することを目指すが、本年度は1997年以降行われたイタリア・中国共同調査によって発見されたいくつかの碑文につて、その復元と翻訳作業を行い、あわせて関連する文献資料を精査することによって以下の点について明らかにすることができた。 1.928年碑文につて 同碑文はほぼ完全なもので、文字もほとんど全てが判読可能である。後唐の天成二年十二月十三日および天成三年一月八日(ともに928年)の日付が見え、内容は奉先寺と敬愛寺の間での売買契約に関わるものである。契約者および両寺の僧侶たる証人の名前が判明している。これらの人名は他の文献資料には見られず、この碑文が唐滅亡後の混乱期における奉先寺の活動を跡づける極めて貴重な資料であることがわかる。また、僧侶の肩書きなどからこの頃奉先寺が禅仏教の活動の場であったことも判明する。 2.道一碑文 この碑文は不完全なものであるが、「一佰貮十歩」「賣」「西隣」「建卵塔」などの文字を復元することができた。さらに最後の行には僧侶の名前が列記されるが、なかでも「沙門道一」は最も明確に判読できる。これらの内容から、ある程度の範囲の場所が売買されたこと、そこに塔が建てられたこと、などを推測することができる。特に「卵塔」というタイプの塔は禅宗の僧侶の墓として唐代から用いられたもので、そこからこの碑文については八世紀の建立という可能性を指摘できる。
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Research Products
(1 results)