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2005 Fiscal Year Annual Research Report

現代の世界文学のコンテキストにおけるヨシフ・ブロツキーの詩学

Research Project

Project/Area Number 04F04255
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

沼野 充義  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) KIM H.  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 外国人特別研究員
Keywordsヨシフ・ブロツキー / 現代世界文学 / ロシア詩 / バイリンガリズム
Research Abstract

ユダヤ系ロシア詩人ヨシフ・ブロツキーは、1972年にソ連からアメリカに亡命しており、またその詩学がロシア的なものに留まらずそれを超えむしろヨーロッパ的なもの、さらには世界文化に根ざしているがため、世界文学の中で彼の詩学を総合的に研究しその位置付けをするのは、非常に重要な課題と言える。そこで今年度には英語が堪能だったブロツキーのバイリンガリズムに焦点を当て、英語または英詩がブロツキーのロシア詩に、ロシア語に、そして詩人としての世界観に与えた影響について考察し、英詩の伝統の中でブロッキーを位置付けした。
まずジョン・ダンやT.S.エリオットの英詩がロシア詩人としてのブロツキーに及ぼした影響を考察し、彼らの英詩が、使われている言語そのものとその言語がもつ社会的・歴史的・哲学的背景が一つになって、ロシア詩人ブロツキーの思考と技法すべての面において莫大な影響を及ぼし、ブロツキーの個性的な詩学を作り上げていることが明確になった。
また多くの自分の詩を自ら訳しているブロツキーの自己翻訳詩を分析・研究することによって、ブロツキーがそれぞれの言語の特徴を掴んでそれを一つの表現法として使っており、ブロツキーにおける詩の翻訳とは単なる言語の置き換えというより、言語と文化が一つになって現れる現象であることが明らかになった。
最後に、自ら英語で詩作を試みたブロツキーの英詩を分析することによって、彼独特の複雑な詩の世界、つまり、かつてブロツキーが英詩から受け継いでロシア詩の中で発展させた形而上学的な思考体系・心理的要素が、ブロツキーが英語で詩を書くことによって、現代の英詩の中にさらに発展した形となって戻って来たという、大変興味深い結論に至った。
このようにブロツキーのバイリンガリズムはロシア文学をより豊かなものにしたばかりではなく、各世界の文学を世界の多様は観念の総合として纏め上げていると言える。

  • Research Products

    (1 results)

All 2005

All Book (1 results)

  • [Book] ポスト共産主義時代のクロノトポス2005

    • Author(s)
      沼野充義(編書)
    • Total Pages
      190
    • Publisher
      東京大学文学部スラヴ文学沼野研究室

URL: 

Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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