2004 Fiscal Year Annual Research Report
言語使用の多様性に関する記述的・理論的研究:オランダ語と日本語の比較
Project/Area Number |
04F04256
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鷲尾 龍一 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VANBAELEN Ruth 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 社会言語学 / 言語学のパラメーター理論 / 形態論・統語論 / 標準語・方言 / 言語基準の変化 / オランダ語・日本語 |
Research Abstract |
ベルギー北部において標準語であるオランダ語とも、さまざまな方言の集合名詞であるフラマン語とも異なる"Tussentaal"(仮称:中間言語)と呼ばれる言語が広がりを見せている。この言語的バリエーションに関する組織的な調査・分析は少なく、その理論的な位置づけはなされていないのが現状である。本研究は、以下の3点を目的とする。第1に、Tussentaalの諸特徴を調査し、標準語・フラマン語双方からの逸脱状況を明らかにし、特にその形態的・統語的性質を言語理論(特にパラメータ理論)の観点から考察する。第2に、Tussentaalの社会言語学的性質に関する調査も進め、Tussentaalを用いることの意味を明らかにする。最後に、Tussentaalと比較しうる"Middle Language"が日本(語)にも存在するのか否か、またこれから発生するか否かという問題に考察を加える。 本年度(平成16年10月1日〜平成16年3月31日)は、研究目的を達成するために、Tussentaalを中心に以下のような作業を行っていた。まず、Tussentaalに関連する文献を収集し、分析を行った。オランダ語のこのバリエーションの諸特徴を明確し、その結果を現在、論文にまとめる作業を行っている。さらに、Tussentaalは話しことばであると考えられてきたが、書きことばにおける存在を確認することにした。新聞記事を対象としてTussehtaalの特徴の1つである過去分詞geworden/geweestの余剰的使用を調査し、実例を収集している。一般に規範的である新聞がなぜ標準語から外れている表現を使うのか、そしてこの逸脱がどのような場合に生じるのかを中心に調査を進めているところであるが、これにより、標準語・方言・Tussentaalに対する意識、さらには変化の動機づけが明らかになると考えている。
|