2004 Fiscal Year Annual Research Report
東北アジア古代世界における「楽浪郡」と「高句麗」文化の比較研究
Project/Area Number |
04F04260
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早乙女 雅博 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JUNG I.S 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 高句麗 / 楽浪 / 瓦 |
Research Abstract |
平成16年度は東京大学に保管されている楽浪と高句麗関連考古遺物の整理作業と高句麗瓦当の製作復元実験を実施した。 まず楽浪土城から出土した遺物に対しては土器、青銅器、ガラス製品、瓦製品などの洗い、朱記、写真撮影などの作業を終わらせた。また土器と瓦、青銅器などの遺物に関しては実測や拓本などの作業も殆どう終わらせている。このような一連の作業を通じて様々なことが明らかになった。楽浪土器と瓦は製作技法を観察した結果、強い類似性が認められ同じ工人による製作であることが分かった。もちろんこの問題に関しては製作復元実験を通じて検証をも終わらせている。その結果、土器と瓦は1次成形段階までは同じ工程で作られるが、2次成形からは異なる工程で仕上げられることが明らかになった。そして青銅器類に関しては製品の整理作業を急ぎ、実測と写真撮影を終わらせた。個々の遺物に関する説明などを備え、その内容を発表する準備をしている。 そして同学保管の高句麗瓦に関する整理研究も進んでいる。拓本と実測、写真撮影が終わり瓦当の製作実験も行った。その結果高句麗の瓦当面の円盤は円柱状の粘土を糸きりで切り取って作ることが明らかになった。すなわち瓦当面と裏面に残る扇状の痕跡は糸きりによるものであることが実験を通じて明らかになった。また高句麗瓦当面によく残る同心円状の痕跡は瓦当用の鋳型を作る際に型を回転させて面を平らにする「挽き技法」の結果で生じたことが実験で明らかになった。この技法は楽浪の瓦には一切見られない技法であり互いの関係を物語ってくれる。 平瓦は原型に布を被せて叩きで成形した後、横ナデで外面を調整することが分かった。 今後は軒丸瓦全体の復元を試みる予定である。
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