2005 Fiscal Year Annual Research Report
東北アジア古代世界における楽浪郡と高句麗文化の比較研究
Project/Area Number |
04F04260
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早乙女 雅博 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JUNG I. S. 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 楽浪郡 / 楽浪瓦 / 一本作り / 高句麗瓦 / 楽浪土城 / 三韓鉄器 |
Research Abstract |
本研究は東京大学に保管されている楽浪郡及び高句麗関連の考古資料を体系的に整理分析し学術資料として学会に広く公開することが1次目的で、その過程で得られた新知見を土台に両文化を考古学的に比較し、その相違を明らかにすることが最終目的である。まず資料の整理作業は順調に進み楽浪瓦や煉瓦、そして鉄器と青銅器類などの整理はほぼ終了した。また高句麗瓦の場合も写真撮影や拓本作業が殆ど終わっている。 これらの作業過程では多くの新知見が得られた。まず第一に楽浪土器と高句麗土器の製作技法面での相違が明らかになった。両方とも轆轤成形ではあるが、楽浪土器は「糸きり」が一般的に用いられるが高句麗土器には殆ど採用されないことが分かった。さらに焼成や仕上げ技法の相違も明らかになり「楽浪土城」には高句麗土器が殆ど無いことも分かった。 第二に、楽浪瓦当にはいわゆる「一本作り」技法によるものがあり、今まで楽浪郡時代でも新しいものとされてきたがその系譜が中国戦国時代の燕にあることが明らかになった。すなわち上限が相当さかのぼることとなった。また高句麗の瓦当作りには楽浪には見えない「糸きり」が採用されることも分かった。 第三に楽浪土城から出土した鉄器の整理検討によって楽浪土城で鉄器の製作が行われたことが明らかになった。楽浪土城内では段造と鋳造、両技法による製作がともに認められた。とくに三韓地域での出土が多い小型の鋳造鉄斧も楽浪土城で製作されていたことが分かった。さらに互いの型式差も明らかになり楽浪の鋳造鉄斧は三韓産ではないことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)