2005 Fiscal Year Annual Research Report
民主化に対する文学者の役割-明治末から大正にかけてとスハルト時代のインドネシアをめぐって
Project/Area Number |
04F04261
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
染谷 臣道 国際基督教大学, 教養学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WIBAWARTA Bambang 国際基督教大学, アジア文化研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 大逆事件 / 幸徳秋水 / 知識人 / 権力 / スハルト / インドネシア / 1965 / 弾圧 |
Research Abstract |
インドネシアのスハルト時代における知識人・文学者に対する弾圧と大逆事件そのものとそれに対する知識人・文学者を主とする知識人のその事件に対する反応と応答をめぐって文献調査を行う傍ら、17年度に以下のような現地調査を実施した。 2005年5月に北海道の函館と小樽に調査した。石川啄木にとって函館は、短い期間ではありましたが、思い出深い地である。明治40年に、生活に困った石川啄木は小樽日報の記者として市内に半年暮らした。資料を収集した。 2005年7月にアムステルダムにあるInternationaal Instituut voor Sociale Geschiedenis(IISG)、フランスにおけるインドネシア政治亡命者会代表(Sobron Aidit, Umar said氏他)、オランダにおけるインドネシア政治亡命者会代表(Arief Tahsin, K.Budiman、Mintardjo氏他)にインタービュー・資料を収集した。また、祖国の現状に対する彼らの提言を含んだ創作活動についても調査した。 2005年9月と11月にスハルト独裁体制下で民主化が滞った実態を調査するために、政治弾圧を受け、刑務所に入れられた知識人たち、特にLEKRAと共産党のメンバーに面接し、当時の状況を聞いた。例えば東南アジアを代表する世界的作家、インドネシアのプラムディア・アナンタ・トゥールである。プラムディアは共産党によるクーデター未遂事件とされる1965年の9・30事件に加担したとして逮捕、七九年末までブル島に流刑された。しかし釈放後も「元政治犯」として市民権を奪われ、ベストセラーとなった代表作「人間の大地」も発禁処分を受けている。その前にも1950年から禁止された彼の作品は約15冊にのぼる。プラムディアはインドネシアの民族独立運動を描いた歴史大作四部作の第一部「人間の大地」を出版、85年には第三部の「足跡」を出版したが、翌年発禁になった。著作は日本を含む数カ国で翻訳されており、85年と86年の二回、ノーベル文学賞候補に指名されている。そしてジャカルタにある文学資料センターなどにも研究資料を収集した。
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Research Products
(2 results)